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ホトケノザ/ほとけのざ/仏の座
Henbit
【ホトケノザとは】
・東北~九州に分布するシソ科の二年草。葉の様子を、仏が座る台座(蓮華座)に見立ててホトケノザ(仏の座)と命名された。早春に咲く紅紫の花は人目を惹き、幼い葉がよく似たオオイヌノフグリと共に一足早く春の訪れを告げる。
・日向を好み、田畑の畔や荒れ地、そして住宅地近くの道端にも群生していることが多い。在来種だが、日本以外でもヨーロッパやアジアに広く分布し、北アメリカ、北アフリカにも生育地が広がっている。
・春の七草でいうホトケノザは、黄色い花が咲くコオニタビラコというキク科の植物であり、普通、本種の茎葉は食用としない。花には蜜があり、抜き取って吸えば甘味があるが全草に毒があり、誤食すると嘔吐、下痢を引き起こす。
・一般的な開花時期は3~6月だが、暖地では12~2月にも開花する。花は長さ1.5~2センチの細長い唇形。上下二つに分かれ、上唇は笠状となり、下唇はさらに三つに裂ける。花の下方にある白い筒は萼で、その先端は五つに裂けて鋭く尖る。
・花や株全体の雰囲気は同じ時期に咲くヒメオドリコソウに似るが、ヒメオドリコソウの花は葉に埋もれるように咲くのに対し、本種の花は上部にある葉の付け根から飛び出すよう咲く。段をなすように咲くため、別名を三階草(サンガイソウ)という。
・花は咲き始めが最も色濃く、徐々に色褪せていく。多くは退化した閉鎖花と呼ばれるもので、完全に開ききらずに実を結ぶため、その内部は観察しづらいが、4本の雄しべがあり、葯には毛を生じる。
・花筒が長くて蜜を吸いにくいため、派手な色のわりに訪れる虫は少ない。花粉を媒介するの長い口を持った一部のツリアブやハナバチで、蜜を吸う際に頭が雄しべに接触することで花粉を運んでいる。
・ホトケノザの葉は直径1~2センチの扇形に近い円形で、縁には緩やかなギザギザがある。柄のない二枚の葉が茎を囲むように生じる姿が印象的だが、下部の葉には柄があって雰囲気が異なる。
・茎は褐色を帯び、断面は四角形。下向きの細かな毛があり、根際で分岐して数本が直立する。多くは秋に発芽し、幼苗で越冬して春に成長、開花するが、春や夏に発芽する苗もあり、株によってバラバラに育つ。
【ホトケノザに似ている草花】
ホトケノザの基本データ
【分 類】シソ科/オドリコソウ属
一年草(あるいは越年草)
【漢 字】仏の座(ほとけのざ)
【別 名】三階草(さんがいぐさ)
カスミソウ
【学 名】Lamium amplexicaule
【英 名】Henbit
【開花期】3~6月
【花の色】紅紫
【草 丈】~30cm