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ホトトギス/ほととぎす/杜鵑草
Toad lily
【ホトトギスとは】
・関東以西の本州、四国及び九州に分布するユリ科の多年草。湿った場所を好み、山の谷や崖に多い。花弁にある紫の斑点模様を、野鳥のホトトギスの胸にある模様に見立ててホトトギスと名付けられた。庭の下草として植栽され、鉢植えで栽培されることも多い。
・鳥のホトトギスが鳴くのは初夏だが、本種が開花するのは晩夏~秋。花は茎の先端と葉の付け根に1~3輪ずつ、上向きに咲いてよく目立つ。直径3センチ前後で花弁は6つ。内側にある紫の斑点と三つに分かれる雌しべが特徴的で、その形は時にメリーゴーランドに例えられる。
・ホトトギスの花はユリを小さくしたような雰囲気で派手だが、意外にも茶華として尊ばれる。花弁の外側は白色で、内側に紫の斑点が、基部近くに黄色い斑点が入るのを基本とするが、色や模様の入り方には微妙な個体差があって品種は豊富。中には珍品と称される希少種もある。
・漢字表記は「杜鵑草」だが、これは鳥のホトトギスと区別するためであり、「草」は発音しない。別名のユテンソウは「油点草」で、若い葉に油を垂らしたような模様が入ることによる。
・葉は鮮やかな緑色をした長楕円形で、両面に褐色の毛を生じる。規則正しく二列に並んで互い違いに生じ、先端は鋭く尖るが縁にギザギザはなく、基部は茎を抱くようになっている。
・茎は円柱形で真っすぐに立ち上がるが、先端は弧を描くように垂れる。特に法面などでは全体に下垂するように育つ。草丈は30~100センチほどで、茎にも褐色の毛が上向きに密生する。ルリタテハ(蝶)の食草であり、葉や茎には多少の食害がある。
【ホトトギスの品種】
・画像のような紫と白の組み合わせが一般的だが、以下のような品種があり、これら全てを総称してホトトギスという場合が多い。ホトトギスの仲間は世界に約20種あるが、日本には野生種12種が育ち、その他にも多様な園芸品種がある。
・黄色い花が咲く品種
タマガワホトトギス(ほとんど毛がない)、チャボホトトギス(草丈が低い)、ジョウロウホトトギス、キバナノツキヌキホトトギス
・白い花が咲く品種
ヤマジノホトトギス~白地に淡い紫の点がある品種で、ヤマホトトギスに似るが、葉の幅がより広く、花が房状にならない。
・花弁が垂れ下がる品種
ヤマホトトギス~花柄が分岐しており、花が房状に咲く。紫の斑点は少なく、花弁は垂れ下がって反り返る。本州中部以西に分布。
・紫色の花が咲く品種
タイワンホトトギス~花柄が分岐して多数の花を咲かせるため人気が高い。花屋で入手できるのは、たいていタイワンホトトギスかシナホトトギス。日本のホトトギスの花は葉の脇に一輪ずつ咲くが、タイワンホトトギスなどは長めの茎先に複数がまとまって咲くため、慣れれば容易に見分けられる。
・葉や茎に毛がない品種
サツマホトトギス
ホトトギスの基本データ
【分 類】ユリ科/ホトトギス属
多年草
【漢 字】杜鵑草(ほととぎす)
【別 名】ユテンソウ(油点草)
【学 名】Tricyrtis hirta
【英 名】Toad lily
【開花期】8~10月
【花の色】紫、白、黄色
【草 丈】~100cm