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ホタルブクロ/ほたるぶくろ/蛍袋
Spotted bellflower
【ホタルブクロとは】
・北海道、本州、四国及び九州の広い範囲に分布するキキョウ科の多年草。日当たりの良い場所を好み、平地や丘陵に群生する。夏に咲く花には色や花弁の変化が多く、これを観賞するため地植えあるいは鉢植えで栽培される。
・かつては道端や田んぼの畦道で普通に見られ、子供たちが蛍狩りで捕まえた蛍をこの花の中に入れて遊んだり、持ち帰ったりしたことから名付けられたという説が根強いが、花の形が、かつて「火垂る袋」と呼ばれた提灯に似ることによるという説もある。
・いずれにせよ各地で昔から親しまれる花であり、チョウチンバナ(提灯花)、キツネノチョウチン(狐の提灯)、ツリガネソウ(釣鐘草)、アメフリバナ(雨降花)、トウロウバナ(灯篭花)、トックリバナ(徳利花)、ホタルカゴ、ホタルバナ、ホタルグサなど別名や地方名が多い。
・花期は夏で、真っすぐに伸びた茎の頂部に釣鐘型をした花が数輪、下向きに咲く。花の長さは4~5センチほどで、色は淡い紅紫あるいは白。花冠の縁は浅く五つに裂け、内側には濃い紫色の斑点模様が散りばめられている。
・咲き始めの花は雄花の性質を持ち、花粉は一旦、自身の雌しべの柱に付着するが、その後に蜜を求めて花の奥深くまで入り込んだマルハナバチの背中に移り、他の個体へと運ばれて受粉する。花はマルハナバチが入りやすい大きさになっており、内側には足がかりとなるよう毛を密生させている。
・葉は長さ5~8センチの卵形で先端が尖る。地際から生じる葉の柄には翼のようなものがあるが、上部の葉には柄がなく、三角形に近い卵形になる。葉は食用になるが、苦味があるため水でさらす必要がある。
・茎はやや赤みを帯び、全体に粗い毛が多い。根茎は短いが、下部の茎は地長を這うように伸びて広がる。
【ホタルブクロの品種】
東北地方南部から近畿地方までの高地に分布し、特に中部地方に多い。ホタルブクロより草丈が低く、花はより長くて色が濃い。パッと見で見分けるの難しいが、花の基部にある萼片の切れ込み部分の形状が異なっており、ホタルブクロは後方へ反り返って尖る。
・シマホタルブクロ
関東及び伊豆諸島の海岸に分布する品種で全体に毛が少なく、光沢がある。花はやや小さいが純白で、茎が倒れるほど花数が多い。
・アオイロホタルブクロ
ホタルブクロとカンパニュラトラケリウムの交配種で、園芸用に数多く流通する。咲き始めは青みが強いが徐々に紫色になる。
【ホタルブクロに似ている草花】
・ヤツシロソウ
九州の山野で稀に見られるキキョウ科の多年草。8~9月に白あるいは紫の花を上向きに咲かせる。
ホタルブクロの基本データ
【分 類】キキョウ科/ホタルブクロ属
多年草
【漢 字】蛍袋(ほたるぶくろ)
【別 名】チョウチンバナ(提灯花)
キツネノチョウチン(狐の提灯)
ツリガネソウ(釣鐘草)
アメフリバナ/トウロウバナ
トックリバナほか
【学 名】Campanula punctata
【英 名】Spotted bellflower
【開花期】6~8月
【花の色】淡い紅紫色
【草 丈】~80cm