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フクジュソウ/ふくじゅそう/福寿草
Amur adonis
【フクジュソウとは】
・北海道及び中部以北の本州を原産とするキンポウゲ科フクジュソウ属の多年草。旧正月に黄金色の花を咲かせるため、新年を祝う草とされ、江戸時代の後期には100を超える園芸品種が作り出された。
・冷涼な山間の木陰に育つため日本での自生は北海道に多いが、石灰岩質のアルカリ土壌を好むなど生育条件が厳しく、天然物は稀になりつつある。寒さに強く、ロシアや中国北部、朝鮮半島にはフクジュソウの近縁種が分布する。
・「福寿草」という漢字表記は日本製の和字で、中国では「側金盞花」と記される。日本での別名は、元日草、福神草、福徳草、長寿草、朔日草(ツイタチソウ)などで、縁起を担ぐものが多数ある。
・早春、葉が広がる前に咲く花は、ヤマブキにも通じる光沢のある黄金色。朝開くと太陽の方を向き、夕方には閉じるが、翌朝にまた開く。花は直径3~4センチの一重で、花弁は20~30枚が基本だが、二段咲き、三段咲き、菊咲きなど品種によってその色形は多様になる。現在は江戸時代ほど多くの品種は残っておらず、レアな品種はマニアの収集対象になっている。
・年末に正月の床飾り用として店頭に並ぶフクジュソウは促成栽培品であり、秋に掘り上げたものを冷凍したり温室に入れたりして開花時期をコントロールしている。他に年末に店頭に並ぶ縁起物には、クロマツ、ウメ、ヤブコウジ、センリョウ、マンリョウ、ナンテンなどがある。
・フクジュソウの根は小さな塊で、そこから暗褐色の太い根と高さ10~20センチの茎を直立させる。正月以外はあまり話題にならないが、花の後にはニンジンのような葉を茂らせ、実を結ぶ。しかし、葉は夏になると枯れ落ちて秋まで休眠するため、どこにフクジュソウがあるのか分からなくなる。
・株全体に強心性配糖体のシマリンとアドニンが含まれ、強心剤に使うとされるが、劇薬であり素人が手を出すのは禁物。誤って口にすると重篤な心臓麻痺を引き起こし、時には死に至るという。
・学名や花言葉はギリシャ神話に登場するアドニスと共通するが、ヨーロッパに自生し、夏に深紅の花を咲かせるアドニスとは別物。日本では、親が決めたモグラの神との結婚を嘆いた女神(クノウ/クノン)が逃げ回った結果、神に踏みつけられてフクジュソウになったという哀しいアイヌの伝説があるが、この伝説ではフクジュソウが咲くとイトウ(魚)が川を遡上し、春の訪れを告げるとされる。
【フクジュソウの品種】
・フクジュカイ(福寿海)
ミチノクフクジュソウとフクジュソウの雑種。花弁が多くて見栄えが良いわりに丈夫で管理しやすいため、店頭でフクジュソウとして売られていることが多い。
フクジュソウの基本データ
【分 類】キンポウゲ科
フクジュソウ属
多年草
【漢 字】福寿草(ふくじゅそう)
【別 名】元日草/元旦草
福神草/福徳草
福付草/長寿草
朔日草(ツイタチソウ)
土万作(ツチマンサク)
エダウチフクジュソウ
【学 名】Adonis ramosa
【英 名】Amur adonis
【開花期】2~3月
【花の色】黄色、白、クリーム色
ピンクなど
【草 丈】~70cm