庭木図鑑 植木ペディア > 山野草 > ハッカ
ハッカ/はっか/薄荷
Japanese mint
【ハッカとは】
・アジア東部の原野に分布するシソ科ハッカ属の多年草。日本では北海道、広島県及び岡山県に特に多い。原野の湿地や小川の縁などに自生し、都市化が進んでいない地域では水田の畔や側溝の縁などにも見られる。
・ハッカは株全体に特有の香りがあり、メンソール(かつては「ハッカ脳」と呼んだ)やハッカ油を採るために栽培されていたものが野生化した例もある。
・別名はハッカグサ、メグサ、メハリグサ、メザメグサなどで、目が覚めるような芳香あるいは目薬として使われた歴史に由来するものが多い。葉や茎にはメンソール以外にもカフェインや柑橘系の樹皮に多いリモネン、人工香料の原料となるピネンなどの物質を含む。
・葉は細い楕円形あるいは卵形で先端が尖り、縁にまばらにギザギザがある。裏面には油点と呼ばれる細かな点があり、角ばった茎から対になって生じるのが見分けのポイント。繊細な印象があるが、根はクローバーのように地下茎を横へ伸ばし、湿っていれば道端でも繁茂するほど強い。
・開花は夏から秋で、葉の付け根から伸びた短い花茎に、淡い紫色または紅色の花が階段状に集まって咲く。花の後には小さくて硬い楕円形の実ができ、その殻は種子が落ちた後も晩秋まで茎に残る。
・ハッカの仲間にはオランダハッカ、セイヨウハッカ、ミドリハッカなどがあり、特にセイヨウハッカはペパーミント、ミドリハッカはスペアミントと呼ばれて親しまれる。日本のハッカは世界のハッカ属の中で最も多くメンソールを含む。このため科学的にメンソールが合成される以前は日本のハッカが世界中に輸出され、ガムを代表とする菓子の香りづけ、歯磨き粉や飲料に使われた。しかし、ハッカ油の香りが劣るため、商業用にはオランダハッカとの交配種が用いられる。
・ハッカは薬用としても使われ、秋に採取した地上部を日干し、これを煎じたものを食事の前後に飲めば、お腹が張って放屁し、健胃に役立つという。またハッカ油には知覚神経を麻痺させる効果があり、皮膚の痒み止めに使われる。
【ハッカに似ている花】
・ヒメハッカ
文字どおり小ぶりなハッカで、葉は2センチ以下。葉の縁にギザギザはなく、花数は少ない。有効成分が少ないため薬用にならず、現在ではその姿をほとんど見掛けることができない。
・オレガノ(ハナハッカ)
地中海沿岸を原産とするシソ科の多年草。乾燥させた葉はイタリア料理に欠かせないハーブの一つとなる。
ハッカの基本データ
【分 類】シソ科/ハッカ属
多年草
【漢 字】薄荷(はっか)
【別 名】ハッカグサ/メグサ
メハリグサ/メザメグサ
【学 名】Mentha canadensis
var. piperascens
【英 名】Japanese mint
【開花期】8~10月
【花の色】白~薄紫色
【草 丈】~80cm