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オモト/おもと/万年青
Japanese Sacred Lily
【オモトとは】
・関東南部~沖縄に分布する日本特産の多年草で、湿気の多い暖地の林間に自生する。漢名「万年青」のとおり、冬の寒さにも耐えて葉の緑色を保つことから、縁起の良い観葉植物として古くから愛好される。
・オモトという名前の由来には、①大分県北部にある御許山を名産地とする、②大きくてゴツゴツした株を意味する「大本」が転訛した、とする説などがある。
・葉は厚い革質で左右対称に整然と広がる。長さは30~50センチで先端が尖り、縁は著しく波打つ。地下にある短くて太い茎から生じるため、地際から直接生えているように見える。
・オモトは葉の模様や皺の入り方に変化が多く、現代のように外来の観葉植物がなかった江戸時代には、観葉植物として度々、爆発的な流行が見られ、希少な品種は高値で取引された。
・明治時代にも西日本の商人を中心とする投機熱が高まり、現代の価値で数千万円にも上る高値で売買されたため、生業に励むよう警告がなされたという。今でも当時の名残か1、000種類以上の園芸品種があり、「都の城」「吾妻鏡」などの和名をもって親しまれている。
・オモトの開花は春から初夏で、葉の間から伸びた長さ10~20センチの花茎の先端に黄緑色の小花が穂状に咲く。花には柄がなく、肉厚な花茎に密着したような状態になる。芳香があるものの総じて地味な花であり、赤い実ほどには話題にならない。
・花の後にできる果実は水分を含んで光沢があり、熟すと赤く(稀に黄色く)なる。一見すると美味しそうだが、これには毒性の強いロデインなどを含み、誤食すると嘔吐、頭痛、血圧低下等を招き、最悪の場合は心臓麻痺に至る。
・強心や利尿作用を期待してオモトを民間療法に用いる例もあるが、果実のみならず株全体に強い毒性があるため取扱いには注意を要する。
【オモトに似ている草花】
・ハラン
・ハマユウ
千葉県以西の海岸に自生するヒガンバナ科の多年草。葉の雰囲気がオモトに似るため別名をハマオモトという。
・ムラサキオモト(ロエオ)
西インド諸島やメキシコなどを原産とするツユクサ科の熱帯植物。オモトとは関係ないが、オモトに似た葉の裏面が紫色になるため、ムラサキオモトと呼ばれ、観葉植物として流通している。
オモトの基本データ
【分 類】ユリ科(スズラン亜科)
オモト属
多年草
【漢 字】万年青(おもと)
【別 名】縁起草/長寿草/吉草
百代草/不老草など多数
【学 名】Rohdea japonica
【英 名】Sacred lily
【開花期】5~6月
【花の色】黄緑色
【草 丈】~30cm