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オケラ/おけら/朮
Japanese atractylodes
【オケラとは】
・北海道を除く日本各地に分布するキク科の多年草。日当たりの良い野原や丘陵、明るい雑木林の林縁などに見られ、若菜を食用に、根を薬草として正月の御屠蘇(おとそ)に使うことで知られる。
・虫のような名前のオケラだが、万葉集の時代にはウケラとして親しまれ、これが転じてオケラとなった。別名はカイブシコケラ、カイブシノキ(蚊燻しの木)など。
・開花は初秋で、枝先にアザミに似た白い筆のような小花を咲かせる。花の外側にある「総苞葉」が細かく切れているのが特徴。雌雄異株で雌株には果実ができる。
・葉は楕円形で、縁にある細かなギザギザはトゲ状になる。表面は艶があるが、裏面は綿毛に覆われて白い。一見すると葉や茎が硬くて食べられそうもないが、春先に採取したものは柔らかくて美味しい。
・新芽は白い軟毛に覆われているが、少し成長してこれが剥落した時期が食べ頃。かつて「山でうまいはオケラにトトキ(ツリガネニンジン)」と喧伝された。天婦羅、酢の物、お浸しや和え物にして食べるのが一般的。
・根茎は太くて長く、ところどころに節がある。京都の八坂神社で新年を迎える行事として行われる「朮祭(おけらまつり)」「朮詣(おけらまいり)」は、オケラの根茎をヤナギの削りかけと共に燃やしてかがり火にし、人々はその火を貰って雑煮を焚いたが、これはオケラに邪鬼を払う作用があると信じられているためであり、正月の御屠蘇に使われるのも同様の意義がある。
・漢方では根茎を健胃、整腸、利尿、食欲増進に用いる。オケラの根の外皮(コルク部分)を除いたものを「白朮(びゃくじゅつ)」、中国産のホソバオケラの根を乾燥させたものを「蒼朮(そうじゅつ)」と呼び、用途によって使い分ける。
【オケラの品種】
・ハマオケラ
海岸型の変種だが来歴は不詳。
・オオバナオケラ
中国に分布する近縁種でオケラと同じ時期に、より大きな花を咲かせる。漢方での生薬名を白朮(びゃくじゅつ)といい、健胃、利尿、強壮などに使われる。
オケラの基本データ
【分 類】キク科/オケラ属
多年草
【漢 字】朮(おけら)
【別 名】カイブシコケラ
カイブシノキ(蚊燻しの木)
【学 名】Atractylodes ovata
【英 名】Japanese atractylodes
【開花期】9~10月
【花の色】白、淡い紅
【草 丈】~100cm