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オオバコ/おおばこ/大葉子
【オオバコとは】
・日本全国の道端や空き地、野原で極めて普通に見られるオオバコ科の多年草。葉が大きなことにちなんで大葉子(オオバコ)と名付けられた。日本以外でもシベリアから東南アジアまでの広い範囲に分布し、車のワダチがあればどこにでも生えることから、漢名を「車前」という。
・人の踏みつけに強く、むしっても再生する厄介な「雑草」とされるが、民間療法では葉や種子を咳止め、炎症の緩和、利尿、下痢止めに用いた。オンバコ、オバコ、ゲーロッパ、カエルッパ、ギャーロッパ、マルバ、マルコバ、テリコバコなど多数の地方名で親しまれるが、カエルにちなんだ名が多いのは、死にそうなカエルでもオオバコの葉で包むと蘇生するという俗信にちなみ、その薬効に由来する。
・葉は長さ5~20センチ、幅3~8センチの楕円形または卵形で縁は波打ち、平行に走る複数の葉脈が目立つ。10枚ほどが地際から直接生じ、地面に張り付くように広がる。葉には長い丈夫な柄があり、昔の子供たちはこれを絡ませて引っ張り合い、切れた方が負けという遊びをしていた。
・オオバコの葉の下にはガマガエルが好んで潜むとされ、ガマゴロモほか前掲の地方名がある。あまり品のいい名前ではないが、若葉は天婦羅、御浸し、胡麻和えとして食用に、また、乾燥させて煎じたものはオオバコ茶に、生の葉を水で洗い、炙って柔らかくしたものは湿布代わりに使うことができる。
・開花は5~9月で、葉の間から伸びた20センチほどの花茎の先端に、白い小花を多数、ツクシを長くしたような穂状に咲かせる。花は直径2ミリほどで目立たないが、下から上へ向かって次々に咲いていく。
・花の後には楕円形の果実が多数できるが、人や動物がこれに触れると、上部にあるフタが外れて黒褐色の種子が飛び出す。また、雨や露で濡れた種子は白い粘液を生じて粘着性を持ち、衣類や靴の裏、車のタイヤなどに付着して住宅街から亜高山まで拡散される。あまり歓迎されるものではないが生薬名を「車前草」あるいは「車前子」といい、漢方や民間療法では煎じたものを咳止めに用いる。
・オオバコの地下茎は短いが、多数のヒゲ根を持っており、地面を這うように生じる。また、他の植物と競合しないよう硬い地面を好んで繁殖していくため除草しにくい上、地上部を刈られても再生する力が強い。除草にはグリホサート系のラウンドアップやサンフーロンが使われる。
【オオバコに似ている草花】
・エゾオオバコ
日本海側の砂地に自生する品種。草全体に軟毛があるのが特徴。
・トウオオバコ
花の軸が50~80センチになる最も大型のオオバコで、海岸地帯に多い。葉は質が厚くてやや立ち上がり気味に生じる。トウには「唐」の字を当てるが国産種。
・ハクサンオオバコ
本州中北部の高山帯に生じる矮性種で、全体に小さく、まばらな花に種子が一粒ずつしかできない。
・ヘラオオバコ
葉がヘラ型になる品種。原産は中央アジア~ヨーロッパだが、日本でも帰化植物として郊外の路傍などで増殖している。かなり長い花茎の先に3~5センチほどの花穂ができ、開花期はよく目立つ。
このほか、ヤグラオオバコ、サザエオオバコといった園芸品種が作出されている。
オオバコの基本データ
【分 類】オオバコ科/オオバコ属
多年草
【漢 字】大葉子/車前草
大車前(おおばこ)
【別 名】オンバコ/オバコ
ガマゴロモ
ゲーロッパ/カエルッパ
ギャーロッパ/マルバ
マルコバ/テリコバコ
【学 名】Plantago asiatica L.
【英 名】Chinese plantain
【開花期】6~9月
【花の色】白
【草 丈】~50cm