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エビスグサ/えびすぐさ/夷草
Sicklepod
【エビスグサとは】
・北アメリカ~熱帯アメリカを原産とするマメ科の一年草。種子を薬用するため江戸の享保年間に中国南部から渡来したものが、本州の暖地~沖縄に野生化して分布する。「ハブ茶」の原料として知られ、関東以西の平地で人為的に栽培されることもあるが、商業栽培はインド、タイなど熱帯アジアに多い。
・エビスグサの開花は夏で、葉の脇から伸びた柄に、黄色い五弁花を1~2輪ずつ咲かせる。花の後にできる果実は長さ15センチほどの細長い豆果。熟すと弓状に湾曲し、中には六角形に近い菱形の種子が20~30個ほど行儀よく並ぶ。別名「ロッカクソウ」は種子の形に由来。
・熟した種子は光沢のある褐色で、これを蒔けば2か月ほどで草丈1mを超える。薬用するのはこの種子で、生薬名は「決明子(けつめいし)」。「決明」は視界が明らかになることを意味し、煎汁で眼を洗うと、目ヤニでふさがった目が開いて明るくなることによる。
・決明子には消炎、緩下、利尿、血圧降下、強壮などの効能があるとされ、頭痛、虫さされ、便秘、目の充血、口内炎、じんましん、神経痛などに使われる。健康茶として流通するハブ茶は、10月頃に採取して日干しした種子を炒って作るもので、ゲンノショウコやウツボグサなどと合わせることもある。
・葉は羽根状で、卵形の小葉が2~3対集まってできる。小葉は長さ3~4センチで先端付近ほど大きいのが特徴。エビスグサを植えると土壌の線虫が減るとされ、無農薬栽培においては緑肥としてエビスグサを土に漉き込んだり、畑に植える例がある。
・エビスグサには「恵比寿草」という漢字をあてることもあるが、本来は「夷草」。「夷」は異国を意味し、本種が外来であることによる。また、エビネやシャクヤクにもエビスグサという別名があるが、本種とは関係がない。
【エビスグサに似た植物】
日本に自生する近縁の一年草で、同じように健康茶の原料になる。
・ハブソウ
熱帯アメリカを原産とする一年草で、エビスグサ同様に薬用のため渡来したものが沖縄や小笠原諸島で野生化している。7~10月に咲く花はエビスグサに似るが、豆果は長さ10センチほどしかなくエビスグサのような弓状にならないという違いがある。ハブ茶はハブソウで作るのが本来だがハブソウは種子が少ないため、栽培がより容易で病害虫にも強いエビスグサで代用される。
エビスグサの基本データ
【分 類】マメ科
カワラケツメイ(センナ)属
一年草
【漢 字】夷草/恵比寿草
(えびすぐさ)
【別 名】ロッカクソウ(六角草)
【学 名】Senna obtusifolia
【英 名】Sicklepod
(Chinese senna)
【開花期】6~8月
【花の色】黄色
【草 丈】~150cm