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エゴマ/えごま/荏胡麻
Wild sesame
【エゴマとは】
・中国中南部、インド及び東南アジアを原産とするシソ科の一年草。日本には朝鮮半島を経て渡来し、弥生時代の遺跡から種子が発掘されるほど古くから栽培され、野生化したものが山野に見られる。
・エゴマの栽培が広まったのは、種子を絞って作る「荏油(えあぶら)」を灯火の燃料にしたためで、8世紀初めの法典である「律令」にも荏油として記録される。灯火とは現代でいう照明で、荏油が普及するまではゴマの油を使っていたが、ゴマよりも扱いやすいため、関東地方を中心として普及した。
・近代化とともに荏油は菜種や綿実油に役目を奪われ、エゴマの栽培は下火になったが、近年では美容やダイエットに効果のある健康食品として、エゴマオイルが注目されるようになった。
・葉は長さ7~12センチの卵形で先端が尖り、縁にはギザギザがある。表面は緑色で、裏面は紫を帯びることがある。茎は直立し、高さ90センチほどまで育ち、上部で分岐する。茎の断面は方形で、表面には白い立毛がある。
・葉はシソに似るがその香りはなく、茎はより太い。葉にはポリフェノールのロスマリン酸や殺菌性のペリラケトンを含み、不快な匂いがあるものの薬用となり、秋に採取した葉の汁を、いんきんやタムシに使う民間療法があった。生薬名は「荏(え)」。
・エゴマの開花は8~9月。茎の先端や葉の脇から伸びた花穂に白い小花が密生する。花は唇形で上唇部分は浅く三つに裂け、下唇は深く二つに裂ける。雄しべは4本だが、うち2本が短く、花冠には柔らかな長毛がある。
・エゴマの種子は直径2~5ミリほどでゴマよりも大きく、9~10月に熟す。灯火以外にも和紙で作った雨具の撥水などに用いられ、また、炒め油、佃煮、天婦羅にして食用することもできる。別名の「ジュウネン」は「十年」であり、エゴマを食すと寿命が10年伸びるという。種子には40%ほどの油分を含む。
【エゴマに似ている植物】
・シソ
・ゴマ
エゴマの基本データ
【分 類】シソ科/エゴマ属
一年草
【漢 字】荏胡麻(えごま)
【別 名】アブラシソ/アブラエ
ジュウネン
【学 名】Perilla frutescens
【英 名】Wild sesame
【開花期】8~9月
【花の色】白
【草 丈】~90cm