庭木図鑑 植木ペディア > ウラシマソウ
ウラシマソウ/うらしまそう/浦島草
Urashimasou
【ウラシマソウとは】
・北海道南部から九州まで日本全国の広い範囲に分布するサトイモ科テンナンショウ属の多年草。3~5月に咲く大きな花は怪しげな雰囲気を持ち、初めて見る人々の多くは「何、コレ!」と口にする。特異な野草に見えるが、暖帯から熱帯まで広く分布するテンナンショウ(天南星)の仲間で、日本には30~40種ほどが自生する。
・ウラシマは浦島太郎に由来し、学名もArisaema urashimaとされる。細長く伸びる鞭のようなものは花序の附属帯で、牧野新日本植物図鑑によれば、これを浦島太郎の釣り糸に見立てて名付けられたという。しかし、手で触れるのも憚られるような不気味さがあり、頭を持ち上げて舌を出している蛇に見立てた別名「ヘビクサ」もある。
・ウラシマソウの開花は春から初夏。葉の付け根から伸びた8~14センチの花茎の先に咲くが、花茎は葉柄よりも短いため、花は葉に隠れる。花弁に見える大きなラッパ状のものは「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる苞葉で、長さは10~15センチになり、縦に白い筋が入る。
・釣り糸に見立てられるのは苞葉の先端が細くなっったもので、最長60センチにも達し、自分の葉や他物に絡まる。花言葉も浦島太郎にちなんだ「不在の友を想う」「懐古」「回想」など。
・苞葉の中には小指大の棍棒状のものがあり、ここに緑色をした本当の花が咲く。雌雄異株だが環境によって同じ株が雌雄どちらかになり、雌株には果実(偽果)ができて、赤いトウモロコシといった感じになる。
・葉は11~17枚の小葉が鳥の脚のように集まってできる。小葉の長さは9~12センチほどで中央に位置する小葉が最も大きい。葉の縁にギザギザはない。葉は根から1~2本生じ、その基部はサヤ状になる。茎(葉柄)は長さ30~50センチほどの多肉質。暗い緑色で、紫色の斑点模様が入る。
・根は扁平した球形で上部に多数のヒゲ根があり、周辺には小芋を生じる。茎の汁液、根、果実には蓚酸カルシウムを含み、触れると湿疹やかぶれを、誤飲すれば口内炎、嘔吐、下痢、胃炎を引き起こすが、民間療法では球茎のおろし汁をオデキの吸出しに使う。
【ウラシマソウの品種】
・ナンゴクウラシマソウ
小葉の幅が狭く、葉の主脈が白い筋状になる。
・ヒメウラシマソウ
苞に白いT字模様が入る品種で、栽培品としては本種よりも普及している。
【ウラシマソウに似ている草木】
・ムサシアブミ
ムサシアブミの葉は独立した3枚の小葉、オオハンゲは基部が合着している。
ウラシマソウの基本データ
【分 類】サトイモ科
テンナンショウ属
多年草
【漢 字】浦島草(うらしまそう)
【別 名】ヘビクサ(蛇草)
【学 名】Arisaema urashima
【英 名】Urashimasou
【開花期】4~5月
【花の色】暗紫色、クリーム色
【草 丈】~50cm