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ウバユリ/うばゆり/姥百合
Heartleaf lily
【ウバユリとは】
・関東地方以西の本州、四国及び九州に分布するユリ科の多年草。名前の由来には諸説あるが、花が咲く頃には葉が枯れており、その様子を「歯なし」にかけて姥百合(うばゆり)と名付けられたという説が有名。日本の固有種であり、林内の木陰などやや薄暗い場所に自生するが個体数は減っており、地域によっては準絶滅危惧種に指定される。
・ウバユリの葉はヤマユリやオニユリなどとは全く異なる卵形~ハート形で、茎の中ほどに5~6枚がまとまって生じる。葉脈も網目状であり、平行脈となるユリの仲間とは一線を画している。そもそもウバユリはウバユリ属であり、一般的なユリとは異なる。
・葉には長い柄がありギボウシや観葉植物を思わせる。大きくて瑞々しい葉の様子は花材として好まれ、初夏を飾る生け花に使われることも。「ウバ」は「姥」ではなく「大きい」を意味し、ウバユリという名は、幅広で大きな葉や草丈に由来するという説もある。
・開花は7~8月。花は緑がかった白色の漏斗型で、長さ12~18センチほど。花弁(花被片)は6枚だが筒状に生じ、内側には紫がかった褐色の小さな斑点模様が入る。6本ある雄しべは長さが異なり、雌しべを包むように生じる。
・ウバユリはタケやササと同じような「一回繁殖型植物」であり、一度花を咲かせると鱗茎(根)ごと枯れるという儚い性質を持つが、開花までに5~10年かかるといわれる。
・花の後には画像のような果実ができ、褐色に熟すと自然に裂けて種子を落とす。果実は長さ4~5センチで、種子には扁平な翼がある。花の少ない時季にできるウバユリの実は、ドライフラワーのようだが、なかなか存在感がある。
・茎は太めだが内部は空っぽで、地下にある鱗茎(球根)から真っすぐに伸び、上記の葉とは別に鱗片状の小さな葉が規則的に生じる。鱗茎はヤマユリなどに比べると小さいが食用となり、新芽が出た頃に採取したものを天婦羅などにして食べる。
【ウバユリに似ている植物】
北海道や中部地方以北の本州日本海側に分布する大形の品種で、草丈が150~200センチほどになる。花はウバユリよりも大きくて数も多いため、画像のように複数の実が残りやすい。別名はエゾウバユリ、ウンバイロ。鱗茎から上質のデンプンを採取できる。
ウバユリの葉は先端が尖り、オオウバユリの葉は丸みを帯びるという見解もあるが、ウバユリとオオウバユリの違いについては草丈のみで、その他の性質は変わらないという説もある。
ウバユリの基本データ
【分 類】ユリ科/ウバユリ属
多年草
【漢 字】姥百合(うばゆり)
【別 名】ババユリ/オバユリ
カバユリ/ネズミユリ
【学 名】Cardiocrinum cordatum
【英 名】Heartleaf lily
【開花期】7~8月
【花の色】白
【草 丈】~100cm