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ウイキョウ/ういきょう/茴香
Fennel
【ウイキョウとは】
・地中海沿岸西部~コーカサス地方(黒海とカスピ海の間)を原産とするセリ科の多年草。古代ローマでも使われた伝統的なハーブであり、現代でも世界中で栽培される。
・日本にも古い時代に渡来しており、平安初期の「本草和名」にウイキョウの名が掲載され、他国同様に香辛料の原料として栽培されてきた。現代では薬用植物園以外で見掛ける機会は少ないが、地域によっては半野生化しているものがある。
・ウイキョウの開花は7~8月で、枝先に小さな花が20輪以上集まって傘状になる。5枚ある花弁は内側にカールし、雄しべはその外側に突き出す。花の後にできる果実は直径5ミリほどの楕円球で内部は二室に分かれ、表面には筋が入る。
・株全体に特有の香りがあり、果実や茎葉を料理のスパイス、菓子やリキュールの香り付けに使う。特に香りが強いのは果実で、フェンネルシードというスパイスとして利用される。
・漢方では消化促進や身体の冷えに効能があるとされ薬用される。果実の精油には女性ホルモンのような働きがあるとされ、ヨーロッパでは更年期障害や咳止めにこれを用いる。
・葉は長さ30センチ、幅40センチほどで、付け根には大きな葉鞘(ようしょう)を伴う。セリの仲間だが葉先が糸状になるため傘の骨やスギナの葉のように見える。
・茎は円筒形で内部は空っぽ。地際では直立するが上部で分岐。セリの仲間だが乾燥地でも育ち、時には背丈を超えるほど大きくなる。
・ウイキョウという名は漢名の「茴香」あるいは「回香」に由来。これは腐った魚にスパイスとしてウイキョウを使うと香りが回復することによるという。
【ウイキョウに似た植物】
・トウシキミ(八角)
中国南部~東南アジアに見られるシキミ科の常緑樹。果実の形状や植物としての性質は全く異なるが、果実にはウイキョウと同じアネトールという精油を含んでおり、別名を八角ウイキョウあるいはダイウイキョウという。中華料理のスパイスとしてお馴染み。
ウイキョウの基本データ
【分 類】セリ科/ウイキョウ属
多年草
【漢 字】茴香(ういきょう)
【別 名】フェンネル/フェネル
ショウウイキョウ
【学 名】Foeniculum vulgare
【英 名】Fennel
【開花期】7~8月
【花の色】黄色
【草 丈】~200cm