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イワタバコ/いわたばこ/岩煙草
Iwatabako
【イワタバコとは】
・福島県以南の日本各地のに分布するイワタバコ科の多年草。渓流や滝壺近くの湿った岩場に自生し、葉がタバコに似るとしてイワタバコと名付けられた。夏を代表する山野草として鉢植えでも親しまれ、ピンクや白の花を咲かせる品種もある。日本以外では台湾付近の中国に自生。
・イワタバコの開花は6~8月。葉の間から10~20センチの花茎を伸ばし、紅紫の花を2~10輪ほど房状に咲かせる。花は直径2センチほどで先端は五つに裂けて尖り、基部は短い筒状。その内側にはオレンジ色の斑点模様がある。
・花の中心には一体となったシベがある。最も長く、先端を球状に膨らませているのが雌しべ(花柱)で、その付け根を5本の雄しべが囲んでいる。花の後にできる果実は長楕円形で、熟すと二つに裂ける。
・葉は長さ10~25センチ、幅5~15センチほどの長楕円形で先が尖る。タバコに例えられているがそれほど大きくはなく、タバコの双葉に似るという説、あるいは展開前の小さな茶色い芽を刻みタバコに見立てているという説もある。
・イワタバコの葉は厚みがあるものの、質は柔らかで岩に張り付くように垂れ下がっていることが多い。光沢のある表面にはチリメン状の皴が入り、縁には高菜のような不規則なギザギザがある。
・葉は株元から1~2枚ずつ生じ、基部はヒレ状の葉柄に連なる。葉は秋になると黄変し、冬季は丸く固まって褐色の毛に覆われた「越冬芽」となって寒さをしのぐ。根茎は短く、岩などに浅く張り付いているだけであり、繁殖力は弱い。
・別名はイワタカナ、イワヂシャなど野菜に関連するものが多く、開花前の柔らかな葉は食用となる。苦味があるためアク抜きが必要だが、てんぷら、サラダ、和え物など様々に利用できる。また、乾燥させた葉を煎じたものは薬用となり、生薬名を苦苣苔(くきょだい)という。民間療法で消化促進の健胃に使った。
【イワタバコの品種】
・ケイワタバコ
中部地方以西に分布する品種で、萼、花茎、葉の裏面に黄緑色の毛がある。開花はイワタバコよりもやや早い5~6月。
・コイワタバコ
和歌山付近に見られる矮性種で、株全体が小さく、秋に開花する。
【イワタバコに似ている草花】
イワタバコの花は星形だが、イワギリソウは唇形で、全体が白毛に覆われている。
イワタバコの基本データ
【分 類】イワタバコ科/イワタバコ属
多年草
【漢 字】岩煙草
【別 名】イワタカナ/イワヂシャ
イワナ/タキヂシャ
イワチチャ
【学 名】Conandron ramondioides
【英 名】─
【開花期】6~8月
【花の色】紅紫
【草 丈】~30cm