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イチハツ/いちはつ/鳶尾草
Roof iris
【イチハツとは】
・中国中部~ミャンマー北部を原産とするアヤメ科の多年草。性質や花の形はアヤメとほぼ同じだが、アヤメ属の中で「いち早く」咲くため、イチハツと名付けられた。
・イチハツが日本へ渡来した時期は不明だが、平安時代の「和名抄」にも古名「こやすぐさ」の名で登場しており、古くから生け花にも使われる。
・かつてはイチハツを藁葺屋根に植えると大風や火事を防ぐという俗信があり、関東や東北の農家では実践されていた。学名にあるtectorumは「屋根の」を意味し、英名もRoof Irisとなっている。
・イチハツの開花は4~6月。花は直径10センチ前後の淡い青紫色だが、稀に白花もある。外側の花弁(外花被片)は大きくて垂れ下がって波打ち、上面の中央にトサカ状の突起があるのが本種の大きな特徴。アヤメに比べると花の姿は乱れやすく、漢字表記の「鳶尾」はその様子を表す漢名による。
・葉は幅の広い剣状で光沢はなく、粉を帯びたような緑色になる。葉の中央を走る中肋は、アヤメ同様にあまり目立たない。
・イチハツの根茎は生薬名を鳶尾根(えんびこん)といい、健胃に使うこともあるが、テクトリジンという配糖体を含み、誤食すると嘔吐や下痢を引き起こす。
【イチハツに似ている植物】
・アヤメ
・シャガ
イチハツの基本データ
【分 類】アヤメ科/アヤメ属
多年草
【漢 字】鳶尾/紫羅傘
一初/一八/逸初
【別 名】スイラン(水蘭)
コヤスグサ(子安草)
【学 名】Iris tectorum
【英 名】Roof iris
【開花期】4~6月
【花の色】淡い青紫
【草 丈】~60cm