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ホップ/ほっぷ/勿布
Hop
【ホップとは】
・ヨーロッパ~中央アジア(諸説あり)を原産とするアサ科の蔓性多年草。日本では北海道の一部に、栽培品が野生化して分布する。古くから薬用に使われていたが、今日ではビールやホッピーの醸造に欠かせない植物として知られる。
・ホップが海外でビール醸造に使われるようになったのは7~8世紀のことで、主要生産国はドイツとアメリカ。日本でも明治10年から北海道や東北の各地で商業栽培されるようになり、ソラチエースなど日本産の品種も作出されている。
・和名はセイヨウカラハナソウ。カラハナは「唐花」で、ツルと果穂の様子を、模様に使う植物のモチーフに例えている。学名にあるlupulusはオオカミの意味で、他の植物に巻き付いて害をなすことによる。
・ホップの葉は幅4~8センチほどの卵形で、3~5つに裂けるものが多い。葉の縁にはギザギザが、下部には黄色い腺点がある。葉は蔓から対になって生じ、全体にトゲ状の剛毛を生じる。蔓は中空で断面は六角形。人為的に栽培する際は、高さ5mほどの棚を設け、棚から垂らした糸にホップの蔓を絡める。
・ホップの開花は8~9月。雌雄異株で雌株には雌花が、雄株には雄花が咲くが、ビールに使うのは雌花であるため、日本では雄花(雄株)を目にする機会がほとんどない。
・雌花は多数の小花が集まって直径2センチほどの毬状になるが、咲き進むと淡い緑色をした膜質の苞(葉が変化したもの)に包まれ、クマシデやイヌシデの果穂のようになる。
・雌花も雄花も上部にある葉の脇に咲くが、雄株に咲く雄花は黄緑色をした小花で、20~100輪が集まって穂状になる。
・ビールに使うのは未受粉の雌花で、その花被や苞にある黄色い「ホップ腺(ルプリン)」に有用成分が含まれている。ホップには苦味や香りばかりでなく、腐食を防ぎ、泡立ちを促進させる作用もある。ホップの品種によってビールの風味が決まるため、世界各国で品種改良が盛んに行われている。
【ホップに似ている草花】
・カラハナソウ
中部地方以北の山地に見られるホップの変種。花には似たような香りと苦味があるが、ホップ腺が少なくてビールには使えない。カラハナソウの雄花によってホップの雌花が受粉しないよう、かつては人力で野生のカラハナソウを駆除していたという。
郊外のヤブに繁茂する、いわゆる雑草的な蔓性植物だが、同じアサ科カラハナソウ属に属しており、似たような実ができる。
・ホップノキ
アメリカを原産とするミカン科の落葉樹。分類上の関連はないが、軍配型の果実をホップの代用としてビール醸造に使う。
ホップの基本データ
【分 類】アサ科/カラハナソウ属
多年草
【漢 字】勿布
【別 名】セイヨウカラハナソウ
(西洋唐花草)
【学 名】Humulus lupulus
【英 名】Hop
【開花期】8~9月
【花の色】黄緑色
【草 丈】~10m