庭木図鑑 植木ペディア > 山野草 > フッキソウ
フッキソウ/ふっきそう/富貴草
Japanese pachysandra
【フッキソウとは】
・北海道から九州までの日本各地に分布するツゲ科フッキソウ属の多年草。山地の林内に自生し日陰でも育つことや、草丈が低く収まることから庭園等の地面を覆うグランドカバーや日陰の植栽に使われる。
・地下茎でよく繁茂し、冬でも葉の緑を保つことから、繁栄や祝福を象徴する草として、フッキソウ(富貴草)と名付けられた。別名はキチジソウ(吉字草)、キチジョウソウ(吉祥草)。日本以外では中国に自生する。
・葉は長さ5~10センチの卵形あるいは菱形に近い楕円形。上半分は縁に粗いギザギザがあり、茎から互い違いに生じる。葉の表面は濃緑色で、3本ある太い葉脈が目立ち、裏面は淡い緑色になる。
・茎は濃緑色でやや硬く、下部は地面を覆うように育つが、上部は直立して高さ30センチほどに達する。冬季でも枯れずに地上部が残るものの、茎は木質化しないため植物学上の分類が難しく、図鑑によって低木あるいは多年草と扱いが異なる。
・あまり目立たないが、3~4月になると白い花を咲かせる。花には雌雄があり、雄花は茎の上部に密生し、雌花はその下部に5~7個咲く。雌雄いづれも花弁はなく4個の萼片があり、雄花には雄しべだけが、雌花は雌しべだけができる。花言葉は「吉事」「良き門出」など。
・雌花の後には水分の多い直径6ミリほどの球形の果実ができ、熟すと真珠のように白くなる。果実によって増やすこともできるが、繁殖はもっぱら株分けによることが多い。
・やや湿った日陰地を好むが、建物の北側や木の下など薄暗い場所にも適応し、また、日向でも育つ。刈込などの手間もかからず、耐寒性もあるため重宝するが、花は地味であり、果実も目立たない。通常は葉の観賞を目的として植栽される。
【フッキソウの品種】
・斑入りフッキソウ
葉に白い模様が入る品種。模様のない通常のフッキソウと組み合わせて寄せ植えすると見栄えの良いグランドカバーになる。
【フッキソウに似ている草花】
ユリ科の多年草で同じようにグランドカバーに使われ、同じように縁起の良い名前である上、フッキソウの別名にもキチジョウソウがある。しばしば混同されるが、両者に分類上の関連はない。
フッキソウの基本データ
【分 類】ツゲ科/フッキソウ属
多年草
【漢 字】富貴草(ふっきそう)
【別 名】キチジソウ(吉字草)
キチジョウソウ(吉祥草)
【学 名】Pachysandra terminalis
【英 名】Japanese pachysandra
【開花期】3~4月
【花の色】白
【草 丈】~30cm