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フウチソウ/ふうちそう/風知草
Hakone grass
【フウチソウとは】
・関東西部~近畿地方の太平洋側に分布するイネ科ウラハグサ属の多年草。山地の斜面や岩場に自生する日本の特産種で、箱根付近に特に多い。ウラハグサ属の植物は本種のみで一属一種とされる。
・風知草という優雅な名前は、人が気付かないような僅かな風にも葉が反応して揺れることに由来し、風を知らせてくれる草、あるいは台風の接近を告げる草として名付けられた。「風草(カゼクサ)」という別名もある。
・鮮やかな緑の葉が風になびく様が涼し気なこと、耐寒性や耐暑性が高くて育て方が簡単なことから、夏に涼感を演出する植物として人気が高く、盆栽、鉢植え、花壇に使われる。
・一見すると普通の葉に見えるが、葉は付け根付近で捩れており、白っぽい表面が裏に、光沢のある裏面が表に現れるため、ウラハグサ(裏葉草)という別名がある。
・開花は夏~秋で円錐状の花序(花の集り)に長さ1センチほどの花穂が5~6個ずつ垂れ下がり、淡い紫を帯びた小花が咲く。ススキやジュズダマ、イネの花のように地味で、肉眼では観察しにくいが、複雑な構造を持っており面白い。「未来」や「未来を想う」といった花言葉もある。
・茎は地際から多数生じ、こんもりとした株になる。葉は薄く、長さ15センチほどの線形で先端が尖る。晩秋以降は黄変し、地上部が枯れた状態で越冬する。
【フウチソウの品種】
・キンウラハグサ
黄色い葉に淡い緑色の模様が入る品種。明るい雰囲気を持つため市場での流通が最も多い。「斑入りフウチソウ」と呼ぶことも多い。
・ベニフウチソウ
葉の先端が紫を帯びた紅色になる品種。天然の個体数は少なく、珍重される。
フウチソウの基本データ
【分 類】イネ科/ウラハグサ属
多年草
【漢 字】風知草(ふうちそう)
【別 名】ウラハグサ(裏葉草)
風草(カゼクサ)
【学 名】Hakonechloa macra
【英 名】Hakone grass
Japanese forest grass
【開花期】8~10月
【花の色】白、淡い紫
【草 丈】~50cm