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ヒメジョオン/ひめじょおん/姫女苑
Annual fleabane/Daisy fleabane
【ヒメジョオンとは】
・北海道~沖縄まで日本全国に分布するキク科ムカシヨモギ属の1~2年草。いわゆる帰化植物であり、明治維新前後に原産地の北アメリカから観賞用に導入されたものが各地で野生化し、明治初期以降、雑草と化した。ヒメジオンと発音されることが多いが、ヒメジオン(姫紫苑)はキク科シオン属の別種。
・環境への適応力が高く、土質を選ばずに育つ。日当たりのよい道端や空き地に群生するが、一株で5万粒近くの種子を作り、種子の寿命も長いため爆発的な繁殖力を持つ。山地や高原にも分布を広げており、在来種の生育を阻害する恐れがあるため、外来生物法では要注意外来生物に指定されている。
・ヒメジョオンの開花はハルジオンが咲き終わった初夏から晩秋。花は頂部にある黄色い筒状花と、それを取り囲む黄色い舌状花からなる。舌状花はハルジオンに比べると短くて太く、より少ない。通常見掛けるのは白色が多いが、空気の綺麗な場所では淡い青紫色になる。
・葉は茎から出るものと、根元からでるものがある。茎から出る葉は細いヘラ形で先が尖り、縁にはギザギザがある。ハルジオン同様、葉柄はなく茎から互い違いに生じるが、ハルジオンと違って茎を抱くようにはならない。株元から生じる根生葉は卵形。はっきりした葉脈と長い柄があるが、開花する頃には脱落している。
・茎は高さ50センチ位までは真っすぐに伸びるが、上部は分岐しながら2m近くまで伸びる。硬質で表面には粗い毛を生じるが、ハルジオンに比べると毛はまばら。
・開花前の若い茎葉には春菊に似た香りがあり 天婦羅やおひたし、油炒めなどにして食べることができる。ハルジオンも食用になるがヒメジョオンの方が美味とされる。
・乾燥させた花や葉を煎じて飲めばお茶代わりになり、糖尿病の予防効果があるとする民間療法があった。ヒメジョオンの別名としては「貧乏草」が有名だが、これを飲食して空腹をしのぐことによるわけではなく、手入れする余裕のない庭に本種がはびこることによる。
【ヒメジョンに似た植物】
大正時代に北アメリカから渡来した近縁種。ヒメジョオンよりも繁殖力が高いため、春先には頻繁に目にする。両者の花はよく似るが以下の点が異なる。
蕾~ヒメジョオンでは直立あるいは横向きになり、あまり下向きになることはないが、ハルジオンの蕾は開花直前までうなだれている。
葉~ヒメジョオンの葉は画像のとおりだが、ハルジオンの葉は縁にギザギザはなく、軽く茎を抱くように生じる。
茎~ヒメジョオンの茎には髄が詰まっているが、ハルジオンの茎は中空になる。
・ヘラバヒメジョオン
葉にほとんどギザギザがなく、ヒメジョオンよりも乾燥した土地を好む。
ヒメジョオンの基本データ
【分 類】キク科/ムカシヨモギ属
一年草~越年草
【漢 字】姫女苑(ひめじょおん)
【別 名】ヤナギバヒメギク
アメリカグサ/ビンボウグサ
テツドウグサ/センソウグサ
サイゴウグサ/ゴイシングサ
ガイセングサ/タイショウグサ
カイコングサ
【学 名】Erigeron annuus
【英 名】Annual fleabane
Daisy fleabane
【開花期】6~10月
【花の色】白と黄色、淡い青紫と黄色
【草 丈】~130cm