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ヒシ/ひし/菱
Water chestnut
【ヒシとは】
・北海道~九州に分布するミソハギ科の一年草。各地の池沼、溜池、流れのない用水路などに見られる水草だが、古くから食用及び薬用され、万葉集にもその名が登場する。
・かつては金魚鉢に入れる水草として普通に流通していたが、水質汚染によって天然の個体数は減少。日本以外では中国や朝鮮半島に自生が見られる。
・「菱形」は本種の葉及び果実の形に由来するが、実際の葉は菱形ではなく、菱形に近い丸みのある三角形。直径3~6センチで上側二辺はギザギザしているが、下の二辺はまっすぐになる。
・葉は水面に浮かぶように見えるが、水底の泥中に至る長い柄がある。上から見ると多数の葉が放射状に広がるが、これは柄の一部が膨れてスポンジのようになり、浮袋の役割を果たしているため。水面に見える葉とは別に、糸状に深く切れ込んだ水中葉がある。
・ヒシの開花は夏~秋で、放射状に広がる葉の中心に一輪だけポツンと咲く。花は直径1センチほどの白い四弁花で、葉の付け根から伸びた花茎の先端で、水面に顔を出すように咲く。雌しべは1個で、雄しべは4個。
・ヒシの実は直径3センチほどで 押しつぶされたような三角形。「押しつぶされた」という意味の「拉ぐ(ひしぐ)」がヒシという名の由来になったとされる。忍者が撒くマキビシ(鉄菱)のように鋭いトゲがあるが、これは花の時に4個あった萼のうちの2個が残存して変化したもの。果実は水中で育ち、熟すと株から離れて水面を漂う。
・外見からは想像しにくいが、ヒシの果実は食糧となり、終戦直後まで食糧難の時代を支えてきた。収穫期は9~10月で、クリに似た風味と滋養強壮、消化促進の効用がある。生でも食べられるが、塩茹でして渋皮を剥き、甘煮、白和え、団子や餅などにして利用する。
【ヒシの品種】
・ヒシよりも小型のヒメビシ、大型のオニビシがある。両者とも果実のトゲは4本で、2本しかないヒシと見分けることができる。
【ヒシに似ている草花】
・オニバス
・コウホネ
・アサザ
・ハス
・スイレン
ヒシの基本データ
【分 類】ミソハギ科/ヒシ属
一年草
【漢 字】菱(ひし)
【別 名】ミズモグサ/ミズグリ
ツノジ/フシ/ヘシ
ヌマビシ/サンカク
オニコ
【学 名】Trapa jeholensis
【英 名】Water chestnut
【開花期】7~10月
【花の色】白
【草 丈】(水深による)