ハラン/はらん/葉蘭
Cast Iron plant/Bar room plant
【ハランとは】
・中国などを原産とするキジカクシ科(スズラン亜科)の常緑多年草。草の仲間だが葉は年間を通じて鮮やかな濃緑色を保つため、関東地方以西の庭園や公園等に植栽される。別名はバラン、中国名は蜘蛛抱蛋(ちしゅうほうたん)。
・近年はあまり見かけないが、古くから西日本を中心に和食や寿司の飾りや仕切りに本種の葉を使った。葉が丈夫な上に芳香があるためだが、本種の代用として使うギザギザした緑色のビニールも、この名残からバランと呼ばれる。
・ハランは日本に自生しないと考えられていたが、昭和になってから鹿児島県の大隅半島や種子島近くにある黒島に分布するのが判明した。
・葉は長さ30~50センチの大きな長楕円形で先端が尖り、隆起する多数の葉脈は左右非対称になる。全て株元から生じる根生葉で緑色の長い柄があり、地下を横に這う地下茎の節から生じる。
・若葉はバショウやウコンと同じように模造紙を巻いたような感じ。 葉は裏も表も同一の濃緑色。丈夫で加工しやすいことから、生け花の基本的な素材として古くから使われる。
・ハランの根茎は膀胱炎、利尿、強壮、強心、去痰に効能があるとされ、民間療法では、すりおろしたものを酒と一緒に服用し、乾燥させたものを煎じて飲用する。
・あまり知られていないが、4~5月頃になると根茎から出た短い柄の先に花を咲かせる。直径3~4センチほどで外側は緑色だが、内側は怪しげな紫色で、花先は浅く八つに裂けて盃状になる。
・ハランの花は地面に置かれたように咲く上に、繁茂する葉や落ち葉に埋もれるため、これらの障害物を手で除けるなどしなければ視界に入らない。チョウやハチも集まらず、受粉はカタツムリやナメクジ、あるいはニホンオカトビムシによって促される「蝸牛媒花(かぎゅうばいか)」の性質を持つ。
・花の後にできる果実はイチジクを小さくしたような感じの球形。熟すと黄色くなり、数粒の種子を抱く。
【ハランの品種】
・葉の先に白い斑のあるアサヒハラン、葉全体に小さな斑点や白線が入る斑入りハラン、星形の斑点があるホシハランなどの園芸品種がある。
ハランの基本データ
【分 類】キジカクシ科/ハラン属
多年草
【漢 字】葉蘭(はらん)
馬蘭(ばらん)
【別 名】ヒトツバ(一葉)
【学 名】Aspidistra elatior
【英 名】Cast iron plants
Bar room plant
【開花期】4~5月
【花の色】紫色
【草 丈】~50cm