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ハナショウブ/はなしょうぶ/花菖蒲
Japanese Iris
【ハナショウブとは】
・日本に自生するノハナショウブを改良して作出された園芸植物で、観賞を目的として各地の庭園や公園に植栽される。アヤメと俗称されることが多く、乾燥した陸地に咲くアヤメと混同されがちだが、草丈や花弁はアヤメよりも明らかに大きい。
・上記の混乱は「菖蒲」を音読みでショウブ、訓読みでアヤメと呼ぶことなどによるが、さらには全く別種の植物で端午の節句に使われるショウブ(サトイモ科)もあって混迷を極める。別名ハナカツミは「花が美しいマコモ」という意味。
・ハナショウブには多様な品種があるが古典的な品種群は江戸系、肥後系、伊勢系に大別される。江戸系はハナショウブの栽培が本格化した江戸時代に、江戸の堀切地方に集められて発達した品種群で、にぎやかな群生の美を観賞する。肥後系は鉢植えを座敷に並べてその風格を、伊勢系は優雅に垂れ下がる花弁と色彩の移ろいを楽しむ。
・ハナショウブの開花は環境にもよるが5月~6月で、花弁は3枚、6枚、八重のものがある。花弁は長さ15センチにもなり近縁種よりも大きいが、付け根部分に黄色い線が入るのを特徴とする。
・ノハナショウブの花色は深い紫色だが、ハナショウブには紫のほか、ピンク、黄色、白などがある。また、ハナショウブの紫はノハナショウブに比べると赤みが強いものが多い。
・葉は根茎から二列に並んで生じる。葉の形はカキツバタに似るが、中央の脈(中肋)が隆起していること、花茎が葉よりも高くなることがカキツバタとの見分けのポイントになる。根茎は太く、細い根を多数生じ、普通は水辺で栽培されるが開花期を除けば水なしでも栽培できる。
・花茎は高さ1mほどで、花は先端に2~3輪ずつ咲くのが普通。同じ場所に植え続けると連作障害によって花付きが悪くなるため、4~6年おきに株分けをして管理する。
・ハナショウブという名は葉がショウブに似ることによるが、本来のショウブは葉や根茎に特有の香りがあり、これが邪気を払うとして端午の節句に使われた。
【ハナショウブに似た草花】
・アヤメ
・イチハツ
・ヒオウギ
・シャガ
ハナショウブの基本データ
【分 類】アヤメ科/アヤメ属
多年草
【漢 字】花菖蒲(はなしょうぶ)
【別 名】アヤメ/ハナカツミ
【学 名】Iris Ensata
【英 名】Cow Japanese Iris
【開花期】5~6月
【花の色】紫、白、黄色など
【草 丈】~100cm