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ウスバサイシン/うすばさいしん/薄葉細辛
Asiasarum Root/Siebold's wild ginger
【ウスバサイシンとは】
・本州、四国及び九州に分布するウマノスズクサ科の多年草。日陰を好み、やや湿った山地の林内に自生するが、漢方では本種の根茎を「細辛(さいしん)」と呼び、鎮痛、咳止め、痰切、消炎に用いる。
・名前の由来となるのは薄手の葉と根茎で、地下にある細い根は噛むと口が痺れる程の辛味がある。これにはサフロール、メチルオイゲノールなどの成分を含んでおり特有の香りがあるが、漢方に使うのは土用の頃に採取した根茎を陰干しした物。
・ウスバサイシンの葉は長さ5~8センチのハート形で基部は画像のように円形にくぼむ。表面は艶のない濃緑色で両面とも葉脈の上だけに細かな毛がある。
・茎は地を這うように横へ伸び、赤紫色をした長めの葉柄は根茎から対をなすように生じる。葉柄にはフキのような雰囲気があるが、春に採取した若芽や若葉は生のままで天婦羅にして食べることができる。
・ウスバサイシンの開花は3~5月。花は直径1~2センチの釣鐘型で萼の先端は三つに裂ける。ポポーのような暗い紫色をした花は、花茎ではなく葉柄の付け根付近で隠れるように咲くのが特徴。
・昭和の頃までは、サイシンの粉末を酢で練って小さな団子を作り、それをヘソに詰めて寝ると口内炎が治るという民間療法があった。
【ウスバサイシンに似た植物】
・カンアオイ
関東や中部地方に見られる近縁種。名前のとおり10~2月頃、暗い緑色の花を地上付近に咲かせる。葉に生じる多様な模様を観賞するため、江戸時代にはコレクションの対象になるほどの人気を博したが、根の精油が乏しく薬用にはならない。
・フタバアオイ
ウスバサイシンと同じような葉だが光沢があり、葉脈以外にも毛がある。花もウスバサイシンと似ているが、花先が外側に反り返るのが特徴。地味な花だが徳川家の「葵の紋」はアオイではなくフタバアオイの花を図案化したもの。
ウスバサイシンの基本データ
【分 類】ウマノスズクサ科
ウスバサイシン属
多年草
【漢 字】薄葉細辛(うすばさいしん)
【別 名】サイシン/ニッポンサイシン
カワリウスバサイシン
【学 名】Asiasarum sieboldii
【英 名】Asiasarum Root
Siebold's wild ginger
【開花期】3~5月
【花の色】暗い紫色
【草 丈】~50cm