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イソギク/いそぎく/磯菊
Ajania
【イソギクとは】
・関東南部と静岡県の沿海地方及び伊豆七島に分布するキク科の多年草。海辺の荒れた斜面などに分布するため、イソギク(磯菊)と名付けられた。日本に育つ野生のキクの一つだが、海辺の厳しい環境に適応するため、花や葉の様子は他のキク類と大きく異なる。
・開花は11~12月で茎の先端に花弁のない小さな花を多数咲かせる。キク科の花は通常「舌状花」と「筒状花」と呼ばれる二つのタイプの花を併せ持つが、イソギクでは舌状花が退化し、黄色い筒状花だけになるものが多い。稀に舌状花を持つ個体があり、この場合は白い花が混ざる。
・葉は長さ4~8センチ、幅2センチ前後の長い楕円形。他のキクの仲間のような羽根状にはならず、葉の上半分にのみ浅い切れ込みが入る。表面は濃緑色で葉脈はほとんど目立たず、裏面には銀白色の毛が密生するが、葉の縁が表側に反り返っているため、一見する葉に白い縁取りがあるように見える。
・多肉植物のような葉が密生するため、グランドカバー目的で使うこともできるが、晩秋以降は画像のように黄変し、小さな冬芽を残して葉を落とすことが多い。
・若い茎には銀白色の毛があるが、古くなった茎は木質化して淡い褐色なる。茎は一つの株から多数が斜めに立ち上がり、草丈は30~50センチほどになる。
【イソギクの品種】
・フイリイソギク
葉に白い模様が入る園芸品種
・ハナイソギク
栽培キクとの交雑(あるいは先祖返り)によって白い花(舌状花)の混じるものを、ハナイソギクと呼んで区別する場合がある。
【イソギクに似ている植物】
・シオギク
四国と紀伊半島の一部地域に分布するキクの仲間で、イソギク同様に海岸の崖地に育つ。同じような黄色い小花を咲かせるが、イソギクに比べると花は大きて舌状花がより多く、葉の切れ込みが浅い。
イソギクの基本データ
【分 類】キク科/キク属
多年草
【漢 字】磯菊
【別 名】イワギク(岩菊)
【学 名】Chrysanthemum
pacificum
【英 名】Ajania
Gold and silver
chrysanthemum
【開花期】11~12月
【花の色】黄色、黄色と白
【草 丈】~50cm