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コクサギ/こくさぎ/小臭木
Japanese Orixa
【コクサギとは】
・本州、四国及び九州の山野に自生するミカン科の落葉樹。湿った林内や沢沿いに群生することが多い。日本以外でも朝鮮半島南部や中国の東南部に分布する。
・コクサギの葉は長さ6~10センチほどの歪な楕円形で、表面には光沢がある。名前のとおり、葉や枝には独特の臭気があり、これを煎じた汁は殺虫剤として家畜の皮膚病に使われた。
・葉の臭気がクサギに似るが、葉や木全体が小さいため、コクサギと名付けられた。しかし、クサギはシソ科、コクサギはミカン科であり分類上は関連がない。
・コクサギの葉の出方は縦方向に伸びる枝と横方向に伸びる枝では異なり、前者は四方に、後者では左右に交互に「二枚ずつ」出るという独特な性質を持つ。後者のような葉の出方を「コクサギ型葉序」といい、サルスベリもこれに類する。葉の質は薄く、秋には独特な黄葉となる。
・開花は4~5月で、前年に伸びた枝の葉の脇に黄色と緑色の小さな花が咲く。雌雄異株で雄株には雄花が、雌株には雌花が咲くが、雄花は10輪ほどがまとまって房状に咲き、雌花は短い柄に単独で咲くので見分けやすい。いずれも直径は4~5ミリほどで花弁は4枚(稀に5枚)ある。
・花の後にできる実は四つの「分果」に分かれ、10~11月に熟すとそれぞれが自然に二つに裂け、中から黒い種子が勢いよく飛び出す。
・コクサギは主だった幹がなく、多数に枝分かれして株立ちになるのが普通。また、樹齢を重ねると樹皮は紙のように薄く剥がれ落ちる。
【コクサギの育て方のポイント】
・湿気のある場所を好み、乾燥地では元気がなくなる。直射日光の当たる場所よりは半日陰程度の方がよい。
・丈夫な性質を持ち、ほとんど手をかける必要はないが、カラスアゲハやオナガアゲハの幼虫が葉を好んで食べるため、春先には青虫が大量に発生し、木の周りに落ちてくる。
・あえて庭に植えるような木ではないが、庭に植えて管理する場合は自然樹形にならって株立ち状に育てる。
【コクサギに似ている木】
・クサギ
分類上は全く異なるが、葉が臭い葉としてコクサギと共に扱われる。
・アゲハ蝶の幼虫の餌になる木としては、コクサギと同じミカンの仲間であるサンショウ、カラタチ、キハダなどのほか、クスノキ、オガタマノキ、タイサンボクなどがある。
コクサギの基本データ
【分類】ミカン科/コクサギ属
落葉広葉/低木
【漢字】小臭木(こくさぎ)
【別名】ワジョウザン(和常山)
【学名】Orixa japonica
【英名】Japanese Orixa
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】1.5~4m
【用途】薬用/蝶の食餌用
【値段】1500円~