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ゴンズイ/ごんずい/権翠
Gonzui tree
【ゴンズイとは】
・関東地方以西の本州、四国、九州及び南西諸島に分布するミツバウツギ科の落葉樹。日当たりのよい低山の雑木林などで普通に自生し、普段は目立たないが、葉が緑色の時季から果実が赤くなるため、初秋には人目を惹く。
・ゴンズイの仲間は中国及び朝鮮半島南部に見られるが、本種は日本の固有種であり、19世紀の始めにシーボルトらが当時の新種として発見した。地方によってはキブシやコシアブラをゴンズイと呼ぶことがある。
・名前の由来には、①毒を持つナマズの仲間「ゴンズイ」と同様、役に立たないためとする説、②ミカン科のゴシュユが中国から伝わった際に本種と混同され、ゴシュユがゴンズイに転訛したとする説がある。実際には、魚のゴンズイは天ぷらにすることがあり、樹木のゴンズイは若菜を食べることがある。
・葉は長さ4~9センチの小葉が5~9枚集まって羽根状になる。小葉は細長い卵形で先端が尖り、晩秋には紫がかった色に紅葉する。ゴンズイは別名を「クロクサギ(黒臭木)」というが、葉をちぎると独特の香りがする。クサギに比べれば葉は断然大きく、その形状も異なるが、果実が青いクサギに対する命名と思われる。
・ゴンズイの開花は5~6月。その年に伸びた若い小枝の先端に、多数の小花が穂状になって咲く。花は直径5ミリほどの淡い黄緑色で、花弁と萼が5枚ずつあるがあまり目立たない。
・花の後には画像のようにユニークな袋状の果実ができ、9~11月に赤く熟すと縦に裂け、中から光沢のある黒い種子が1~2粒ほど顔を出す。学名のEuscaphisは美しい小舟を意味する造語で、果実の様子にちなむ。種子は堅く、人気があるとはいえないがツグミ、イカル、シロハラ、シメなどの野鳥が採食する。
・樹皮は紫色を帯びた黒色で、白く掠れた不規則な模様が入り、樹齢を重ねると縦に剥離する。稀にシラカバなみに幹の白い個体があり、庭木として珍重される。材質は柔らかく建材としては使いにくいが、加工しやすいため細工物に使われる。
【ゴンズイの育て方のポイント】
・耐寒性がやや乏しいため、植栽の適地は関東地方以西~九州となる。
・日向であれば土地を選ばず丈夫に育ち、病害虫に被害も少ない。
・枝ぶりは荒々しく、大振りになりやすいため庭木として使う例は少ない。芽を出す力は強いため、剪定によって形を作ることはできる。
【ゴンズイに似た木】
ゴンズイ属の樹木は本種のみであり、近縁種はない。果実の様子が似る木としては既出のクサギやマユミがある。
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ゴンズイの基本データ
【分類】ミツバウツギ科/ゴンズイ属
落葉広葉/小高木
【漢字】権翠(ごんずい)
【別名】クロクサギ/キツネの茶袋
ゴゼノキ/ミハンチャギ
【学名】Euscaphis japonica
Kanitz
【英名】Gonzui tree
【成長】早い
【移植】普通
【高さ】3~6m
【用途】雑木
【値段】1500円~