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クコ/くこ/枸杞
Wolfberry
【クコとは】
・北海道を除く日本各地に分布するナス科の落葉低木。川の土手や海岸近くの空き地、道端などで普通に見られるが、葉の脇にトゲがあるため防犯目的の垣根などにも使われる。株全体に強壮や解熱などの薬効があり、「不老長寿の源」として話題になりやすい。
・クコという名前は漢名の「枸杞」を音読みしたもので、中国、朝鮮半島及び東南アジアにも自生が見られる(そもそも中国原産で、各地で野生化したとする説もある)。あまり見慣れない漢字だが「枸」も「杞」もクコそのものを表す。別名はゴズベリー、ゴジベリーなど。
・葉は長さ2~4センチのヘラ形で、短い柄に数枚が集まって生じる。質感は柔らかで両面ともに毛は生じない。主だった幹はなく、細い幹が株元から多数生じて大きな雑草のように見える。枝は灰白色で縦に筋が通り、弓なりになって垂れ下がる。小枝の先端や葉の付け根がトゲ状になることがあり、手で触れると痛みを感じる。枝葉はビタミンCを含み、若葉はクコ茶(延命茶)、クコ飯、クコ粉末(ふりかけ)などに使われる。
・花はナスを小さくしたような色形で、1~4輪が葉の付け根にぶら下がる。直径は1センチほどの釣鐘型で先端は深く五つに裂け、1本の雌しべを5本の雄しべが囲んでいる。開花期間は晩夏から初秋まで(7~11月)と長い。
・果実は唐辛子を小さくしたような楕円形で、長さは1~1.5センチ、直径0.5センチ程度。水分が多く、これにはアミノ酸やタンパク質のほかアルカロイド物質も含まれるが、乾燥しても色艶を保つため、料理の彩やクコ酒に使われる。果実には白ゴマに似た種子が10粒以上入っているが、繁殖は挿し木によることが多い。
・クコの実は熟すと朱色になるが、自然に落ちることが少なく、長い間、木の上に残る。また、翌年の花期に熟すため、花と実が一緒にできるように見える。
・クコは株全体が薬用にされ、平安時代から貴族の間で愛用された。漢方では果実を「枸杞子(クコシ)」「木蜜」、花を「長生薬」、根の皮を「地骨皮」、葉を「枸杞葉」と呼ぶ。薬膳料理のスープに使われ、滋養強壮、血圧降下、解熱などに効能があるとされ、薬理実験でもその効果が確認されている。今昔物語などに登場する久米の仙人もこれを愛用したとされる。
【クコの育て方のポイント】
・本州から九州までの広い範囲に植栽できる。
・海岸や堤防沿いに自生することが多いものの、石垣の間や公園の隅など条件の悪いところでも鳥の糞から発芽するほど、丈夫な性質を持つ。
・土質は選ばないが、本来は砂地を好む。
・日なたを好み、日陰では生育が悪い。
・芽を出す力は強く、剪定にも耐える。ただし、つる状にヒョロヒョロと伸びることが多く、樹形は整えにくい。観賞用というよりは実用と割りきって栽培するのがよい。
・風通しが悪い場所などでは葉に粉が吹く、うどん粉病の被害が見られる。
【クコの品種】
・アツバクコ
ハワイ、小笠原諸島及び大東諸島に分布する常緑の品種。別名をハマクコ(浜枸杞)といい、海辺の岩場で這うように育つ。同じような花や実がなり、これも薬用となるが採集によって個体数は減少しており、沖縄県では準絶滅危惧種に指定される。
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クコの基本データ
【分類】ナス科/クコ属
落葉広葉/低木
【漢字】枸杞(くこ)
【別名】シネンセス/ヌミクスリ
ゴジベリー/ゴズベリー
カラスナンバン/キホウズキ
【学名】Lycium chinense Mill.
【英名】Wolfberry
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】1~2m
【用途】花木/盆栽/薬用
【値段】400円~