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キンシバイ/きんしばい/金糸梅
Tall St.John's wort
【キンシバイとは】
・中国中南部を原産とするオトギリソウの仲間。開花期間が長いことや、枝葉が柔らかで和洋どちらの庭にも違和感がないため、庭木の下草として公園や庭園に植栽されるほか、切り花にも利用される。
・日本へ渡来したのは江戸時代中期の宝暦10年(1760年)で、花弁の様子がウメに似ていること、黄色い雄しべが特徴的であることからキンシバイ(金糸梅)と名付けられた。
・キンシバイの開花は梅雨時から盛夏にかけてだが、狂い咲きも多い。花は直径3~5センチで、枝先に2~3輪ずつ咲く。5枚ある花弁は厚手で光沢があり、巴形に重なり合って生じ、ビヨウヤナギのようには全開しない。
・雌雄同株で、花柱(雌しべ)の先端は5つに分かれ 雄しべは60本ほどが一束となり、計5束も生じる。雄しべはビヨウヤナギより数が少なく、長さも短いため花弁の内側にとどまる。
・花の後には直径1センチほどの乾いた果実ができる。10月頃、褐色に熟すと自然に五つに裂け、小さな粒状の種子が拡散される。日本に本来の自生はないが、種子によって拡散したものが、民家近くの岩場や崖地で野生化している例がある。
・葉は長さ2~5センチ、幅2~3センチほどの楕円形。葉柄はなく、枝から対になって生じる。葉質は薄く、表面は明るい黄緑色で、裏面は白っぽい。
・キンシバイには主だった幹がなく、細い幹(枝)が株立ち状に乱立する。若い枝は赤紫を帯び、アーチ状に歪曲して垂れ下がるように伸び、枝別れが多いため葉が密生する。環境が良ければ秋に紅葉し、寒冷地では落葉する。
【キンシバイの育て方のポイント】
・植栽の適地は東北地方以南。寒さにやや弱く、寒冷地では落葉する。
・原産地では岩場に見られ、土質を選ばずに育つが、粘土質かつ肥沃な土地であればなおよい。
・日当たりを好むが夏の強い西日は苦手。午後の日差しが少ない場所がよい。
・枝先の垂れる自然樹形に育てようとすると意外に大きな株になる。一般家庭では数年に一度、根元から切り取って更新するのがベター。芽を出す力は強く、剪定によく耐えるが、枝の途中で刈り込むような剪定は好まない。剪定の適期は花の直後。
【キンシバイに似た花木】
・ビヨウヤナギとキンシバイの違い
両者はとてもよく似ているが、ビヨウヤナギの方が葉も花も大きい。また雄しべの数もビヨウヤナギの方が圧倒的に多く、長さも花弁から飛び出すほどあるため、見分けがつきやすい。花弁の形もビヨウヤナギは歪な楕円形だが、キンイシバイは円形に近い。
【キンシバイの品種】
キンシバイは古くから親しまれる花木だが、現在ではヨーロッパから導入された、より花の美しい品種(ヒペリカム)の人気が高く、いくつかの品種がある。
・ヒペリカムヒドコート(ハイドコートともいう)
枝葉の様子はキンシバイに似るが、花はより大きく人気が高い。
・ヒペリカムカリシナム(ヒメキンシバイ)
樹高30~50センチにとどまり、大きな花が咲く。
・ヒペリカムモゼリアナムトリカラー(斑入りキンシバイ)
葉にクリーム色の模様が入る品種。全体に明るい雰囲気を持ち、開花期以外も観賞価値がある。
【キンシバイに名前が似ている木】
キンシバイの基本データ
【分類】オトギリソウ科/オトギリソウ属
半常緑または落葉/低木
【漢字】金糸梅(きんしばい)
【別名】ヒペリカム/ビヨウオトギリ
クサヤマブキ/ヒドコート
【学名】Hypericum patulum
【英名】Tall St.John's wort
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】0.5~1m
【用途】花木/公園/切り花
【値段】400円~