キリ/きり/桐

Paulownia/Empress tree

桐,きり,開花時期
春の花木が一段落した頃に紫の花を咲かせる
桐の木,きり,キリ
冬芽(葉芽)の様子
桐の花の蕾,きりの木
蕾の様子
キリノキ
ほころび始めた花の様子
桐の花,きり,開花時期
花は高い場所に咲くため観察しづらい
キリの木の花,きり
キリの花
桐の花,きり
花言葉は「高尚」
桐の木,開花
花の外側は軟毛に覆われる
Paulownia,Empress tree
下から覗き込むとシベが見える
キリノキ,雌雄,きり
雌しべ(上部1本)と雄しべ(下部4本)
桐の木,きりのき,新芽
開花と同時に新葉が展開する
Paulownia,Empress tree,leaf
桐の葉は大きく、直径30センチ近くになる
桐の木,葉っぱ,きり
葉は裏も表も細かな毛が多い
桐の木,画像
樹高は最大15mほどに
桐の木の実
未熟な実の様子
きりのき,画像
実が熟した頃の様子
fruits of Paulownia,Empress tree
桐の実(晩夏) 直径は3センチほど
Paulownia,Empress tree,winter
桐の実(冬)
桐の木,きり,伐採
桐の木は何処にでも生え、切っても切ってもキリがないという
Paulownia/Empress tree
時にはコンクリートの隙間からも
桐の木,画像,幹
若い木の樹皮
桐の木,特徴
樹齢を重ねるとこんな幹になる
桐,樹木
幹の直径は最大でも50センチほど

 

【キリとは】

・中国中部を原産地とするキリ科の落葉樹。大木になるのが早いため、材木に使う有用樹として古くから植栽されたものが野生化し、北海道南部~九州の各地に分布する。日本へ渡来した時期や経緯は不詳。朝鮮半島や鬱陵島(韓国)にも見られ、これらの地域も原産地とする説がある。

 

 

・キリの材は耐湿性が高いことから、かつては女児が生まれたらキリの木を庭に植え、結婚のときにその材を使って箪笥を作って嫁ぎ先に持たせるという風習があった。勿体ぶって切らずにおくと、やがて材の内部が空洞化して使い物にならなくなるため、キリの木に関しては「植えないバカに切らぬバカ」という諺がある。

 

 

・キリが高級な下駄や箪笥、長持の材料となるのは、国産材の中で最も軽量かつ柔軟で扱いやすい上、真っすぐで狂いがなく、乳白色の木目が美しいため。木目の美しさを表す「木理」から「キリ」に転じたという説がある。ただし桐材は密度が低くて虫や菌類に弱く、キリの木自体も短命に終わるものが多い。

 

 

・桐箪笥の主要な産地は新潟県加茂市で、国内生産の7割を同地が占める。キリの材は水分を多く含み、火事になってもキリの箪笥に収納した物は燃えないという。建具、長持、小箱、下駄、琴や琵琶などの楽器、羽子板、人形、仮面、茶道具、釣りの浮などにも使われる。

 

 

・岩手県ではキリを県の花に指定しており、かつて「南部の国」といわれた同県岩泉盆地を中心に生産された「南部桐」や、福島県の「会津桐」はその美しさで特に知られ、高級な琴の本体は会津桐で作られる。

 

 

・桐細工の生産地に雪国が多いのは、寒暖差が激しいほど年輪が詰まり、美しい木目になるため。キリは成長が早くタンスに使うような太いものでも樹齢は20~30年。現代では箪笥に使わず放置され、種子が飛散して野生化したものが東北や関東北部を中心に見られる。

 

 

・桐の葉は直径10~30センチにも及ぶ大きなスペード型あるいは五角形で、3~5つに浅く裂けることもある。葉の縁にギザギザはなく、表面は粘着性の毛で覆われ、ビロードのような質感を持つ。

 

 

・花札では12月札に使われるキリだが、開花は新葉の展開に先立つ5月~6月。淡い紫色の小花がブドウの房のように集まって咲く。小花は釣鐘型で先端は五つに裂け、外側は短い軟毛に覆われる。雌雄同株で花には雄しべと雌しべがあるが、4本ある雄しべのうち2本は長く、花冠の外側へ突き出す。花の裏側にある萼は褐色でこれにも軟毛を生じる。

 

 

・花の様子が荘厳であることや、紫が高貴な色とされたことから、かつてキリは宮廷の庭園や貴族の屋敷に植栽され、紋様や紋所のモチーフとしても使われた。今でも日本政府は五七の桐を紋章としており、500円玉の表面にその一例が見られる。しかし、花は強風で散りやすく、高い場所に咲くため、間近で鑑賞するのはやや難しい。

 

 

・花後には先の尖った卵形をした直径2~3センチの果実ができる。果実は熟すと二つに割れ、中から硬い翼のある種子が数千個も飛び出す。既述のとおりキリの寿命は短いが、花の後にはほぼ確実に実ができるため、種としての繁殖力は高い。

 

 

・キリの木の樹皮は灰褐色で、樹齢を重ねると表面にポツポツと模様が入り、縦に浅く裂ける。直径は最大で50センチほど。成長が早く、切られてもすぐに芽を出すため、「切る」が転化して命名されたとする説もある。学名Paulowniaはオランダ王妃アンナパブロヴナにちなみ、シーボルトがこれを西洋に紹介したことにちなむ。 

 

 

【キリの育て方のポイント】

・水はけの良い肥沃な土地を好むが、コンクリートの隙間からも生える丈夫な性質を持つ。

 

 

・日当たりを好むが西日は苦手とする。

 

 

・枝の数は少なく、樹形は大味になりがち。また、放置すれば横にも幅が出てくるため、スペースに応じて定期的に剪定する必要がある。放置すれば年に3mほど伸びるが樹形はまとまりにくく、狭い庭には不向き。大きな葉が日陰を作るため公共のスペースには緑陰樹として使うことができる。

 

 

・蕾は前年の秋に作られるため、冬期に枝を切り詰めると花数が少なくなる。

 

 

・時折、テングス病の発生が見られる。見付け次第、患部を根元から取り除く。

 

 

【キリに似ている木】

・キリと名の付く木には、イイギリアオギリハリギリなどがある。キリは時に縁起の良い吉祥の木とされるが、これは中国で鳳凰が止まるとされるアオギリをキリと同一視したことによる。 

 

 

・台湾にはココノエギリ、タイワンウスバギリが生じ、かつてそれらを南米に植栽したものが、南米桐として我が国に輸入された。

 

キリの基本データ

 

【分類】キリ科/キリ属

    (ノウゼンカズラ科説もあり)

    落葉広葉/中高木

【漢字】桐(きり)

【別名】ハナギリ/キリノキ

    ヒトハグサ(一葉草)

【学名】Paulownia tomentosa

【英名】Paulownia/Empress tree

【成長】早い

【移植】簡単

【高さ】8~15m

【用途】シンボルツリー/街路樹

【値段】1000円~

 

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