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ブラジルマツ/ぶらじるまつ/伯刺西爾松
Brazilian pine
【ブラジルマツとは】
・ブラジル南東部からアルゼンチン北部に自生する常緑の高木。世界三大公園樹であるナンヨウスギの仲間であり、明治時代の終わりに日本へ渡来した。亜熱帯性であるが一部の植物園に植栽され、観葉植物としての流通もある。
・別名をパラナマツといい、自生が多かったブラジル南部には本種の名を冠したパラナ州がある。材は緻密であり、現地では重要な木材としてパルプ、建材、帆船のマスト等に使われるが、乱獲が進んだ現在は、絶滅が危惧されている。
・葉は長さ4~7センチの三角形。先端は鋭く尖り、触れるとチクチクする。葉の付け根には柄がなく、枝から螺旋状に生じて南国の雰囲気を醸し出す。サボテンを思わせるような肉厚な葉は丈夫で寿命も長いが、古くなるとコウヨウザンのように枝ごと落下する。
・雌雄異株で雄の木には雄花が、雌の木には雌花が咲くが、いずれも地味で目立たない。雌花の後にできる球果は直径20センチ前後と大きく、表面にはパイナップルのような模様が入る。球果には100を超える種子ができ、2~3年かけて熟すと食用になる。
・種子は長さ5センチ、幅2センチのくさび型。現地ではピニョンと呼ばれ、先住民の時代から食糧となり、現代でも店頭で販売される。茹でて食べるのが一般的だが、粉にしてスープやパンにすることも。味はナッツよりもクリやギンナンに似るという。
・樹皮は赤褐色で古い枝の痕が明瞭に残り、樹齢を重ねると鱗状に剥がれ落ちる。幹の直径は最大で1mほど。太い枝が放射状に伸び、木が若いうちは卵形の樹形になるが、次第に下枝がなくなって傘のような樹形になる。
・本種が属するナンヨウスギ属は18種からなり、ニューカレドニアなどの南半球に多いが、中生代にはその仲間が日本にも生えていたとされ、化石が見付かっている。
【ブラジルマツの育て方のポイント】
・雨量の多い亜熱帯に産する特殊な樹木であるが、耐寒性はある。霜が降りない関東地方以南であれば、地植えで越冬できる。
・日当たりと水はけの良い場所を好む。乾燥に強いが、北風の厳しい場所は避けた方がよい。
・病害虫には強いが稀にカイガラムシの被害に遭うこともある。
【ブラジルマツに似ている木】
ブラジルマツの基本データ
【分類】ナンヨウスギ科
ナンヨウスギ属
常緑針葉 高木
【漢字】伯刺西爾松(ぶらじるまつ)
【別名】パラナマツ/パラナパイン
【学名】Araucaria angustifolia
【英名】Brazilian pine
【成長】やや早い
【移植】難しい
【高さ】30m~50m
【用途】公園
【値段】3000円~