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ポインセチア/ぽいんせちあ/猩々木
Poinsettia
【ポインセチアとは】
・メキシコ及び中央アメリカを原産とする常緑低木。クリスマスの時季に映える赤と緑の葉を観賞するため、師走には鉢植えや切花が大量に出回る。
・一見すると草のように見えるが原産地では高さ数メートルになる「木」であり、日本でも九州南部以南であれば庭木として扱うことができる。
・ポインセチアという名前は、本種を初めてアメリカに導入した同国の初代駐メキシコ大使、J.R.ポインセット氏、あるいはフランス人の旅行家M.ポンセット氏にちなむとされる。
・日本名はショウジョウボクで漢字表記は「猩々木」。こちらは赤く色付く苞葉を、オランウータンに似た伝説上の動物で酒好きの「猩々」の色にちなんで命名された。ポインセチアが日本へ渡来したのは意外に古く、明治19年(1886年)のこと。
・ポインセチアの葉は直径10~20センチほどで枝から互い違いに生じ、長い柄がある。先端が尖った楕円形で、縁は波状になって浅く裂け、葉肉は薄い。表面は濃緑色だが裏には軟毛があり、淡い緑色になる。
・クリスマスに欠かせない赤い葉のようなものは「苞葉」で、葉とは区別される。原産地ではアステカ文明の頃から苞葉を染料に使った。
・苞葉をクリスマスに合わせて赤くするには、5月に挿し木(挿し芽)したものを秋まで鉢植えとして屋外で育て、これを温室内に入れる。既に成木となったポインセチアの場合は9月頃から株全体に段ボールをかぶせて日照時間を調整するなどの手間が必要。漫然と育てていると苞葉は色褪せ、いわゆるポインセチアらしさは消え失せることも多い。
・あまり見向き去れないが、放射状に集まった苞葉の中央には、菱形をした黄緑色の「小総苞」に包まれた花が咲く。花全体はアズキほどの大きさ。
・花には雌雄があり、雄花には紅色の雄しべが一つ、雌花には同じく紅色の雌しべが一つあり、雌花は小総苞の外へ突き出る。ポンセチアは日照時間が短くなると開花する「短日植物」であり、花期は12~2月となる。
・ポインセチアの枝葉を傷つけると白い乳液が生じ、触れるとベトベトするが、これには有毒のフォルポールエステル及びユーフォルビンという物質が含まれており、肌が弱いと水泡やかぶれを生じ、誤飲すれば嘔吐、下痢を引き起こす。また、発がん促進作用があることも近年、解明されている。
【ポンセチアの育て方のポイント】
・熱帯原産としては比較的耐寒性があるものの、日本の多くの地域において冬季は温室での栽培となる。庭に地植えできるのは霜が降りない、鹿児島南部以南、沖縄や小笠原などに限られる。
・日照を好むため、鉢植えで育てる場合も温暖な時季は屋外で育て、気温が10℃を下回るようになったら屋内に取り込むのがよい。風通しの悪い場所で大事に育てていると、コナジラミやアブラムシの被害に遭って枯れることもある。
・株が古くなってくると多数の枝を出し、鉢植え時代には予期できないほど枝葉が繁茂する。若い枝の内部は空洞であり、剪定に耐えるか不安をあおるが、基本的には丈夫な性質を持つ。
【ポインセチアの品種】
・苞葉がクリーム色や淡い紅色のもの、マーブル模様になるもの、八重になるものなど多数の品種がある。
【ポインセチアに似ている木】
道端に生える雑草のような木であり本種とは境遇が大きく異なる木だが、同じトウダイグサ科の仲間であり、同じよう葉や花を生じ、剪定すると同じように白い乳液が滴る。しかし、赤い苞葉はなく、観賞的な価値は乏しい。
ポインセチアとの直接的な関係はないが、共にクリスマスを象徴する木として扱われる。
ポインセチアの基本データ
【分類】トウダイグサ科/ユーフォルビア属
常緑広葉/低木
【漢字】猩々木(しょうじょうぼく)
【別名】クリスマスフラワー
【学名】Euphorbia pulcherrima
【英名】Poinsettia
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】2~6m
【用途】鉢植え/切花
【値段】500円~