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ブンタン/ぶんたん/文旦
Pomelo/Shaddock
【ブンタンとは】
・インド東北部~東南アジアを原産とするミカン科の常緑樹。ミカンの仲間では最も大きな果実がなり、九州南部や高知などの暖地では果樹として栽培される。日本に渡来したのは江戸時代で、嘉永年間(1848~1853年)以前の九州では、盛んに育てられていた。
・ブンタンという名は漢名「文旦」あるいは「分旦」の音読みで、江戸時代前期に薩摩(鹿児島)へ漂着し、本種の種子をもたらした交易船の船長、「謝文旦」の名前に由来する。
・よく知られる別名「ザボン」はポルトガル語の「ザムボア(Zamboa)」が転訛したもの。南蛮交易の時代、ポルトガル人によってその呼名が伝わったとされる。
・ブンタンの開花は初夏(5~5月)で、短枝の葉の脇で数輪が房状に集まって咲く。花は直径は5センチほどであり、柑橘類としては大きめ。4~5枚ある厚めの白い花弁から精油を抽出する。
・果実は球形~洋梨型で直径15~30センチ、重さ0.5~3キロにもなり、中には人の頭のようなものもある。果実が黄熟するのは12~2月頃。果肉は淡いピンク色だが、やや紫を帯びた「ウチムラサキ」もある。
・ブンタンは果汁が少なめだが甘酸っぱく、生食のほか果皮と果肉を砂糖漬けにして使われる。果皮は約2センチもの厚さがあって剥きにくく、内皮は綿状。大きめの種子がある。
・葉は卵状の長楕円形で枝から互い違いに生じる。長さは6~20センチ、幅3~4センチの革質で、表面は光沢のある濃緑色。先端は尖って縁にギザギザはなく、不規則に波打つ。葉柄には他のミカン類同様に翼があるが、幅広で軍配のような形になる。
・幹は単独で生じ、直径は最大10~20センチのほど。若い枝は不規則に角ばり、樹齢を重ねた木の樹皮は黒褐色で凹凸がある。
【ブンタンの育て方のポイント】
・寒さに弱く、植栽の適地は九州と四国南部。
・日向を好み、日陰では枝葉が間延びする。また、他の柑橘類に比べると枝葉の出方は粗く、樹形をまとめにくい。
【ブンタンの品種】
ブンタンは東アジア~東南アジアで広く栽培され、その品種は極めて多い。日本で栽培されるのは、平戸文旦、土佐文旦、晩白柚(ばんぺいゆ)、麻豆文旦(まとうぶんたん)など。台湾産の麻豆文旦は特に美味で知られる。果実の形は品種によって異なる。
ブンタンの基本データ
【分類】ミカン科/ミカン属
常緑広葉/小高木
【学名】Citrus maxima
Citrus grandis
【漢字】文旦(ぶんたん)
【別名】ザボン(朱樂/香樂)
ボンタン
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】2~3m
【用途】果樹
【価格】800円~