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ヒメユズリハ/ひめゆずりは/姫譲葉
Hime-yuzuriha (False daphne)
【ヒメユズリハとは】
・本州中南部、四国、九州及び沖縄に分布するユズリハ科の常緑樹。ユズリハに似た葉が小さい木としてヒメユズリハと名付けられた。
・西日本では正月飾りとしてダイダイやウラジロと共に鏡餅などに使われ、縁起の良い木とされる。自生は暖地の海岸に近い樹林に多く、日本以外では韓国や台湾に見られる。
・ヒメユズリハの葉は長さ6~12センチで幅が狭く、その印象はユズリハよりもモチノキに近い。葉の縁は裏側へ反り返り、8~10対の葉脈がうっすらと見え、乾燥すると網状に浮き上がるのもユズリハとの違い。
・葉柄は長さ4センチほどで赤みを帯び、枝先に集まってついているように見えるが、枝から互い違いに生じる。常緑樹だが古い葉は黄色くなって垂れ下がる。
・ヒメユズリハの開花は5~6月。雌雄異株で雄の木には雄花が、雌の木には雌花が、前年に伸びた枝にある葉の付け根あたりに咲く。
・雄花には7~8個の雄しべがあるが雌花には雄しべがなく、楕円形の子房が目立つ。いずれも花弁はできず、花らしさはない。
・花の後にできる果実は直径9ミリほどの楕円形で、でき始めは紅色だが10~12月になると黒く熟し、表面に粉を吹く。暖地では発芽しやすく、実生で容易に増やすことができる。
・枝はやや太く無毛。樹皮は灰褐色で枝の痕が点々と残ることが多い。樹皮や枝葉にはユズリハ同様、有毒成分が含まれており、除虫に使われる。牛馬がこれを誤食すると食欲不振、起立不能、急性胃腸炎、呼吸麻痺、心臓麻痺を引き起こすため取扱いには注意する必要がある。材木としての利用は少なく、稀に薪や工芸品に使われる。
【ヒメユズリハの育て方のポイント】
・日向でよく育つが、日陰にも強いため、建物の北側などに利用できる。ただし、耐寒性が低いため植栽の適地は中部地方以西の暖地となり、関東以北にはユズリハやエゾユズリハが向く。
・乾燥に耐え、砂地にも育つため臨海の埋め立て地に植栽できる。また、常緑であるため、門際や屋敷周辺の目隠しとして使用できる。剪定には強く、枝ぶりが単純なため整えやすい。
【ヒメユズリハの品種】
・スルガヒメユズリハ
葉が薄く、果実が垂れさがってできる変種。スルガ(駿河)と名乗るが、ヒメユズリハと同様の地域に分布する。
・斑入りヒメユズリハ
葉に白やクリーム色の模様が入る園芸品種。明るい雰囲気を持つため、より好まれる。
ヒメユズリハの基本データ
【分類】ユズリハ科/ユズリハ属
常緑広葉/高木
【漢字】姫譲葉(ひめゆずりは)
【別名】親子草/正月木/交譲木
【学名】Daphniphyllum
teijsmannii
【英名】Hime-yuzuriha
(False daphne)
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】3~10m
【用途】庭木/防潮/正月飾り
【値段】2000円~