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ヒイラギ/ひいらぎ/柊

Holly olive

ひいらぎ,ヒイラギ,樹木
節分の魔除けに使われるヒイラギの葉
ひいらぎ,節分,鬼門に使う葉っぱの種類,柊
冬芽の様子
柊の木,葉っぱ,ひいらぎ
ヒイラギの新芽は赤みを帯びる
ひいらぎ,特徴,柊
新しい葉の付け根にはクリーム色の「托葉」が目立つ
ひいらぎの木の葉っぱ
葉は先端が尖り、縁にも鋭いギザギザがある
ひいらぎ,ヒイラギ,植物,柊
裏面の様子
節分,ひいらぎ,葉っぱ,魚
節分にはイワシの頭と合わせて魔除けに使う
ひいらぎ,刺のないヒイラギの葉,柊
木の上部には縁にギザギザがない葉が多い
柊の木,ツボミ
ツボミの様子
Holly Olive in Japan
花言葉は「用心深さ」「先見の明」など
ひいらぎ,画像,柊の花
よく観察すると複雑でおもしろい
柊の木の花
花は雌雄とも変わらないが、雌花では雌しべが発達している
果実,種子
ヒイラギの実
ひいらぎ,柊,庭木
ヒイラギは高さ8m程度まで育つが・・・
ヒイラギの木の剪定,柊の木
こんなふうに刈り込んだり・・・
ヒイラギ,ひいらぎ,刈り込み
日陰の植え込みに使われることが多い
ひいらぎ,柊の幹
樹皮は灰白色で、細かなポツポツ模様が入る
ひらぎの,樹木
ヒイラギの巨木(推定樹齢500年)

 

【ヒイラギとは】

・福島県以南の本州、四国、九州、及び沖縄に分布するモクセイ科モクセイ属の常緑樹。山地の林内に自生し、庭木としても垣根などに使われる。混同されやすいが、クリスマスの飾りに使うのはモチノキ科のセイヨウヒイラギであり、本種とは異なる。 

 

 

ヒイラギナンテンヒイラギモクセイあるいはシナヒイラギなど、ヒイラギと名の付く植物が多いためその存在は埋もれがちだが、節分などに厄除けとして使われるのが日本原産の本種。日本以外では台湾に自生が見られる。 

 

 

・ヒイラギという名前は、葉が肌に刺さったときの痛痒さを、「疼く(ひひらぐ)」と表現した古語に由来。「柊」は中国の漢字ではなく日本製の国字で、「疼」にちなむか開花時期を示すものと思われる。

 

 

・若葉はクリーム色あるいはピンク色で、葉の下方には托葉と呼ばれるクリーム色の小さな葉のようなものがある。成葉の長さは3~7センチ、幅は2~3センチほどで枝から対になって生じる。 

 

 

・成葉は肉厚で光沢があり、縁には2~5対の鋭いトゲがある。裏面は黄緑色で油点と呼ばれる小さな緑色の点々が見られ、火にくべるとパチパチと音が鳴る。ヒイラギを厄除けに使うのは、中国の爆竹同様にこの破裂音を利用して鬼を追い払うためとする説もある。

 

 

・葉のトゲは動物の食害を防ぐために作られるものであり、その心配のない環境ではトゲのない葉ができる。また同じ理由から、木の上部の葉にもトゲがない。トゲのある葉は概して若い木に多く、老木ではたいていがヒイラギらしくない楕円形の葉になる。 

 

 

・節分にヒイラギの枝葉を玄関に挿したり、玄関脇や鬼門に植えたりするのは、葉のトゲが邪鬼を払い、厄難を追い出すと考えられてきたため。これは宮中で行われていた「鬼やらい(追儺)」という儀式に由来する。ヒイラギの別名にはオニノメツキ、オニオドシなどがあるが、地方によっては節分にヒイラギではなくトベラの葉を使う。

 

 

・ヒイラギの開花は晩秋(11~12月)で、ギンモクセイに似た白い小さな花が葉の付け根に集まって咲く。花の先は四つに裂けて反り、裏側にある萼も四つに裂ける。 

 

 

・雌雄異株だが花の形は雌雄とも変わらない。雄しべ2本と雌しべ1本があり、雌花には発達した長い雌しべがある。花は直径5ミリほどで、葉陰に埋もれるように咲くため余り目立たないが、香水のような良質の香りがある。 

 

 

・雌花の後には直径1.5ミリほどの楕円形の果実ができ、翌年の初夏(5~7月)になると黒紫色に熟す。果実は水分を含み、先端が少しへこんでいる。果実の中には直径9ミリほどの種子ができ、これを蒔けば比較的簡単に増やせるが、雌株の個体数は極めて少ない。

 

 

・幹の直径は最大30センチほどで、淡い白色の樹皮は樹齢を重ねると網目状に剥離する。幹は直立するが枝分かれが多く、大きな材木はとれない。しかし、緻密で材に狂いが生じにくいことから、ソロバン玉、櫛、将棋の駒、印鑑、楽器(三味線のバチ)などに用いられる。

 

 

【ヒイラギの育て方のポイント】

・葉にトゲがあるため、家の周囲を囲めば多少の防犯になる。ただし、小さな子供やペットのいる家庭では扱いにくい。

 

 

・成長が遅いため、維持管理がしやすい

 

 

・刈り込みに強いが頻繁に刈り込むほどトゲトゲになる。

 

 

・本来は日向を好むが日陰に強く、大気汚染にも耐える。

 

 

・基本的には病害虫に強いとされるが、実際のところ病害虫(テントウノミハムシ、マエアカスカシノメイガなど)の被害が多く、すべてが健康な葉の個体は珍しい。

 

 

・日陰に強い木全般にいえることだが、葉の色が濃く、庭の印象が暗くなる。

 

 

【ヒイラギの品種等】

・ヒメヒイラギ、オニヒイラギ、キッコウヒイラギ、マルバヒイラギなど数多くの品種があるが、これらは和風のイメージがつきまとうためか、近年ではあまり見受けられない。代わって、葉に模様が入る、シマヒイラギ、フイリヒイラギ、キフクリンヒイラギ、ゴシキヒイラギなどが洋風住宅の庭を彩るカラーリーフとして好まれる。

 

 

・自生種には西表島の山林に分布するヤエヤマヒイラギなどがある。

 

姫柊の木
ヒメヒイラギの葉はかなり小さい
ひいらぎ,ヒイラギ,種類
葉に模様が入る「フイリヒラギ」は近年人気
ヒイラギ,ひいらぎ,種類
全ての葉は丸い「マルバヒイラギ」
ひいらぎ,亀甲柊
葉が亀の甲型になる「キッコウヒイラギ」もある(秋保大滝植物園)
八重山柊の木
ヤエヤマヒイラギは西表島の固有種

 

【セイヨウヒイラギとヒイラギの違い】  

・クリスマスのリースに使うのがセイヨウヒイラギ(モチノキ科)、節分に使うのがヒイラギ(モクセイ科)。葉は似ているもののヒイラギは葉が一箇所から左右に発生する「対生」だが、セイヨウヒイラギは互い違いに発生する「互生」であり区別できる。

 

 

・もっとも簡単な見分け方は実の色で、セイヨウヒイラギは「赤」、ヒイラギは「黒」と決定的な違いがある。ただしヒイラギの雌株は稀であり、実を見付けるのは難しい。

 

せいようひいらぎ
セイヨウヒイラギ

ヒイラギの基本データ

 

【分類】モクセイ科/モクセイ属

    常緑広葉/小高木

【漢字】柊(ひいらぎ) 

【別名】ヒラギ/オニノメツキ

    オニサシ/オニオドシ

【学名】Osmanthus heterophyllus  

【英名】Holly olive

【成長】遅い

【移植】簡単

【高さ】3m~8m

【用途】垣根/公園

【値段】380円~

 

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