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ハマビワ/はまびわ/浜枇杷
Litsea
【ハマビワとは】
・中国地方以西の海岸沿いに多いクスノキ科の常緑樹。葉がビワの木に似ること、海辺に分布することからハマビワと命名された。観賞用として積極的に庭に使うような木ではなく、防風や耐潮を目的として海辺の街路や公園に植栽される。日本以外では韓国に自生する。
・ハマビワの葉は厚手で輪郭のはっきりした細長い楕円形。長さ7~15センチ、幅5センチほどで葉の縁は少し裏側に反り返る。枝先に集まって互い違いに生じ、裏面や柄は淡い褐色の軟毛に覆われるため黄色っぽく見える。
・葉はシャクナゲ、マテバシイ タイサンボクに近い雰囲気があるが、葉をちぎるとクスノキ科に特有の芳香があり、大きな冬芽もタブノキなどクスノキ科の樹木に通じるものがある。
・ハマビワの開花は9~11月。雌雄異株で雄の木には雄花が、雌の木には雌花が咲くが、いずれもビワの花ほど大きくならず、葉の付け根に咲くこともあってあまり目立たない。花の色形は同じクスノキ科のカゴノキやテンダイウヤクなどに似る。
・果実は直径1~2センチほどの楕円形。開花の翌年の春~初夏になると灰色を帯びた紫色に熟し、表面に粉を吹く。でき始めの実は少しだけビワに似るが、初夏以降はビワとは全く異なる質感となる。ドングリに近く、果肉がほとんどないため食用にならないが渋味や毒性はない。
・幼木の樹皮は灰褐色で画像のような感じだが、老木になると滑らかになる。成長が早いため材は粗く、材木としての用途は乏しい。稀に器具材や薪材として使われる。
【ハマビワの育て方のポイント】
・自生は暖地だが多少の耐寒性はあり、関東地方北部までなら植栽できる。日向を好む陽樹だが、半日陰程度であれば耐えられる。
・葉が大きいため鬱蒼としやすい。海辺の目隠しには最適だが、一般家庭の庭木としては大き過ぎる。剪定は可能だが、枝の出方は粗く、人工的に樹形を整えるのは難しい。
・大気汚染や病害虫に強いものの、まれにスス病にかかる。
【ハマビワに似ている木】
・ビワ
・イヌビワ
・シロダモ
・カゴノキ
ハマビワの基本データ
【分類】クスノキ科/ハマビワ属
常緑広葉/小高木
【漢字】浜枇杷(はまびわ)
【別名】イソビワ/イソシバ
イソマテジイ/ケイジュ
シャクナンショ
ガラサームック
チーギウトゥ
【学名】Litsea japonica
【英名】Litsea
【成長】早い
【移植】やや難しい
【高さ】7m~10m程度
【用途】防風/防潮
【値段】800円~(園芸用の流通は稀)