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ハイノキ/はいのき/灰の木
Hainoki tree / Sweetleaf
【ハイノキとは】
・近畿以西の本州及び九州に分布するハイノキ科の常緑樹。岩肌が露出するような痩せた山地に群生するが、涼しげな葉の様子や野趣あふれる樹形が魅力で、近年はシマトネリコと並んで人気の高い木となっている。成長が緩やかで大きくなりにくいため狭い庭でも管理しやすい。
・ハイノキの開花は4~6月。葉の脇から垂れ下がる長い花柄に、3~6輪の小花がまばらに集まって咲く。花はギンバイカのような白い花で、花冠は五つに裂け、多数ある雄しべは花弁と同じくらい長いのが特徴。
・雌雄異株で、雌花の咲く雌株には夏から秋にかけて長楕円形の果実ができる。果実の直径は8ミリほど。始めは緑色だが10~11月に熟すと黒紫色となり、野鳥にとって格好の食糧となる。種子は果実と同じような形で、長さ3ミリほど。
・葉は薄い革質の楕円形で先端は尾状に長く尖り、裏面は白っぽい。長さ4~7センチ、幅1~2センチほどで、枝から互い違いに生じる。
・樹皮は紫がかった暗褐色で光沢があり、細い枝はサクラ類を思わせるものがある。ハイノキを燃やした灰は酸化アルミニウムを含み、染料を繊維に定着させる「媒染剤」に使ったことからハイノキと名付けられた。材は緻密で将棋の駒や箸、箸、民芸品などを作るのに使われる。
【ハイノキの育て方のポイント】
・繊細なイメージがあるものの、元来は山間の岩場に群生するような木であり、痩せ地でも丈夫に育つ。ただし、粘土が多いような水はけの悪い場所では根腐れを起こして枯れることもあるため、そうした土地では植え付け前に腐葉土を漉き込むなどして土壌改良する必要がある。
・基本的には日向を好むが、根張りが浅いため乾燥に弱く、夏の強い日差しや西日があたる場所では、葉焼けしたり、葉を落としたりすることがある。キレイな葉を維持するには半日陰程度の場所に植えるのがよい。また、根元をリュウノヒゲなどの下草で覆って乾燥を防ぐことも有効。
・暖地性であり、植栽できる地域は近畿以西とされてきたが、温暖化の影響?もあって、関東地方でも植えられるケースが増えてきた。ただし、北関東では冬の寒さにあたると葉を落とすことがある。(シマトネリコやプリペットなど近年人気の木は同様の傾向がある。)
・剪定に耐えるため、刈り込んで人工的な形にすることも可能だが、成長が遅く、枝も自然に整いやすいためあまり手を入れない方がよい。剪定する場合は、他の枝よりも極端に飛び出した「徒長枝」や、株元から発生する細い枝(ヒコバエ)、あるいは内部の枯れ枝を元から切除する程度にとどめる。大胆に剪定した場合、元に戻るまでに時間がかかるため、樹形を変えるような剪定は慎重に行いたい。
・病害虫の被害はほとんど見られないが、風通しの悪い場所ではカイガラムシやアブラムシの被害に遭うことがある。発見次第、枝葉ごと取り除く。
・放任して育てても開花する。花が多い年と、極端に少ない年があるのが普通。また、冬期に寒さの厳しい地方では花を十分に楽しめないことが多い。
【ハイノキの品種】
・葉に模様が入る「斑入りハイノキ」が知られる。
【ハイノキに似ている木、見分け方】
・クロバイ(黒灰)~雄しべが非常に長い「線香花火」のような花を咲かせる。樹高はハイノキよりも高くなるのが普通。秋にできる実は黒色。葉はハイノキよりも厚い。
・サワフタギ~ハイノキの仲間としては珍しく関東地方にも自生し、瑠璃色の実が美しいことなどから庭木として使われる。
・クロキ
西日本の海岸沿いを中心に自生するハイノキ科の常緑樹で、枝葉の灰汁を染料として使う。
ハイノキの基本データ
【分類】ハイノキ科 ハイノキ属
常緑広葉 小高木
【漢字】灰の木(はいのき)
【別名】イノコシバ
【学名】Symplocos prunifolia
【英名】Hainoki tree / Sweetleaf
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】3m~4m
【用途】シンボルツリー
【値段】8000円~