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クロキ/くろき/黒木
Kuroki tree
【クロキとは】
・関東地方南部から九州の吐噶喇列島にかけて分布するハイノキ科の常緑樹。西日本の沿海地に多いが、それ以外の地域でも寺院や墓地、鎮守の森に植栽される例がある。
・日本以外では中国、東南アジア、インド、ブータンなどに自生。なお、沖縄でいうクロキは黒檀(琉球黒檀)のことであり、本種とは異なる。
・クロキの葉は楕円形で厚い革質。長さ4~7センチ、幅2~3.5センチほどで表面には光沢があり、裏面は淡い緑色で無毛。若い枝は黄緑色になる。
・葉の雰囲気は同じような場所に生えるモチノキにかなり似るが、よく見ると葉の上半分の縁には波状のギザギザがあり、モチノキと見分けることができる。
・クロキの開花は3~4月で春に開花するのが基本だが、株によっては秋に色違いの花を咲かせるという風変わりな性質を持つ。
・春の花はハイノキと同じような白あるいは薄緑色で、秋の花は紫色になるものが多い。春の花が正常花で、秋に咲く花は奇形花とされるが、秋の花が咲く個体では毎年きまって秋にも咲く。
・花は直径7~8ミリほどで花冠は深く五つに裂け、雌しべは一つ。雄しべは多数あり、シベの基部にある花盤と花序の軸に毛がある。
・年に2回咲くことと、春の花の蕾は前年の秋にできていることから、一年中ツボミをつけているかのように見える。
・クロキの果実は画像のような楕円形で、晩夏の頃から目立ち始める。長さ1~1.5センチほどで、始めは緑色だが10~11月頃になると青黒く熟す。
・「幹が黒いため黒木という」とする説もあるが、少なくとも東日本では灰褐色あるいは白に近い樹皮が多い。クロキという名前は、枝葉を燃やした後に生じる灰汁を染料(黒)に使ったことに由来すると考える方が馴染みやすい。(本来は黒い幹だが、地衣類が付着して白っぽく見えているという説もある)。クロキの材は薪として利用された。
・クロキが属するハイノキ科は多様性が高く、世界に250種類、日本にもシロバイ、ミミズバイ、ヒロハノミミズバイ、カンザブロウノキ、アオバノキなど20種類以上が分布する。庭木としてはハイノキの流通量と人気が突出している。
【クロキの育て方のポイント】
・暖かくて湿気のある場所を好み、乾燥地では育ちにくい。
・成長がやや遅く、芽を出す力も旺盛ではない。いい加減にバッサリと剪定すると木が痛み、樹形の乱れた状態が長く続くことになる。
【クロキの品種】
・ウチダシクロキ(オガサワラクロキ)
小笠原諸島の父島に自生する品種で、葉脈の窪みが大きく葉の縁が裏側へ反り返る。動物による食害や環境の変化によって個体数が減っており、絶滅が危惧されている。
・ムニンクロキ
こちらも小笠原諸島に見られる品種。
クロキの基本データ
【分類】ハイノキ科/ハイノキ属
常緑広葉/小高木
【漢字】黒木(くろき)
【別名】─
【学名】Symplocos lucida
【英名】Kuroki tree
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】3~12m
【用途】公園
【値段】─