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トクサ/とくさ/木賊
Scouring rush
【トクサとは】
・北海道や中部地方以北の本州など、冷涼な山間に自生するシダの仲間。谷川などの湿地に多いため、庭園においては水辺の景色を作る下草として植栽される。和風の印象が強いトクサだが、日本に限らず北半球北部に広く分布する。
・地下茎から真っすぐに伸びる茎は太さ6ミリほどの濃緑色で、枝分かれはない。茎は中空だが、高さは1mにもなる。茎の表面には60本近い溝が縦に走り、表面はザラつき、これが砥石代わりになるため「砥草」と命名された。「歯磨草」との別名もある。
・トクサには葉らしい葉はないが、よく観察すると黒い節のところに退化した鞘状の葉がある。本来は節を囲むようにあるが、枯れ落ちやすく、たいていその数は少ない。茎は乾燥すると黄色くなるが、黒い節とのコントラストをいかし、生け花ではあえて乾燥したトクサを使うこともある。
・1年中、変化のないように見えるトクサだが、6~8月頃になると茎の先端に胞子を出す「胞子嚢穂(ほうしのうすい)」が出現する。長さ1センチほどの楕円形で緑色から黄色に変わるが、観賞価値はない。
・トクサが砥石代わりになるのは、草体に多量の珪酸(シリカ)が含まれているため。生のままでも植木ばさみや爪を研ぐことに使えるが、秋に刈り取ったトクサを塩を加えた熱湯で処理した後、日に晒して乾燥させたものは、紙やすりのように柔らかくて使いやすくなる。かつては木、竹、角、骨などを磨き、現代でも弓道の竹矢の仕上げに用いる。
・漢字の木賊は漢方名であるが、茎を煎じたものが痔の出血を鎮めるものとして、また日干しして煎じたものはイボや魚の目に効果があるとされた。
・胞子嚢穂の様子はツクシに似るが、トクサは雑草の王様であるスギナ(=ツクシ)の近縁種であり、きちんと管理しないと繁茂しやすい。
【トクサの品種】
・キョダイトクサ
北アメリカを原産とするトクサの仲間。名前のとおり巨大で、人の背丈を超えるほどに育つ。学名はエクイセツム・プレアルツム
・イヌドクサ(犬木賊)
トクサの仲間で日当たりのよい湿地に群生する。トクサの茎は分岐しないが、イヌドクサは枝分かれがあり、茎はトクサよりも細くて柔らか。
・ミズドクサ
イヌドクサに似るが水の中に生じ、葉はごく短い。
・ヒメドクサ(姫木賊)
北海道などの寒冷地に分布するトクサで、草丈などが小さいため盆栽などの園芸用に使われる。
トクサの基本データ
【分 類】トクサ科/トクサ属
シダ植物
【漢 字】木賊/砥草(とくさ)
【別 名】歯磨草
【学 名】Equisetum hyemale
【英 名】Scouring rush/Horsetail
【開花期】─
【花の色】─
【草 丈】~100cm