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ツリガネニンジン/つりがねにんじん
Ladybells
【ツリガネニンジンとは】
・北海道~九州の各地に分布するキキョウ科の多年草で、山地の草原や林縁、堤防などでに育つ。普段は目立たないが夏の終わりから秋の始めに咲く花は、季節の移ろいを感じさせる。日本のほか、朝鮮半島や中国にも分布。
・清楚な花にはまったくもって人参のイメージがないものの、根っこが漢方で使われるチョウセンニンジンに似ることから、ツリガネニンジンと名付けられた。ツリガネはもちろん「釣鐘」で花の様子から。なお、ニンジンはセリ科でチョウセンニンジンはウコギ科であり、分類上の関連はない。
・ツリガネニンジンの開花は8~10月で、茎の上部に3~5輪ずつ、数段にわたって咲く。花は細長いベルのような形で、長さは1.5~2センチほど。外に突き出すのが雌しべ(柱頭)で、その周りには5本の雄しべがある。花の色は白から淡い紫まで変化に富み、また、柱頭が飛び出さない個体もある。
・葉は細長く、3~4枚がまとまって車輪状につく。昔から「山でうまいはオケラにトトキ・・・」と謳われ、若菜と根は「トトキ」の名で山菜として食される。
・ツリガネニンジンには、サンヨウシャジン、オトメシャジン、ハクサンシャジンなど変種が多く、それぞれ葉の様子が多少異なる。また、株元に生じる根生葉は上部の葉と違ってハート形になる。
・茎は直立し、草丈は最大120センチほどになるが風雨によって倒れやすい。茎や葉に軟毛を生じるもの、無毛のものがあるが、毛の密生するのものは特にシラゲシャジンと呼んで区別する。主根は白くて太く、垂直に伸び、漢方では「沙参(しゃじん)」という痰切りの薬になる。
【ツリガネニンジンの品種】
・シロバナツリガネニンジン
白い花が咲くものを特にシロバナツリガネニンジンと呼ぶことがある。
【ツリガネニンジンに似ている花】
・ソバナ
山道などで見られる本種の仲間。花の様子や葉の出方が異なる。
同じキキョウ科の蔓性植物。名前が似る上に、同じ別名トトキがある。
ツリガネニンジンの基本データ
【分 類】キキョウ科
ツリガネニンジン属
多年草
【漢 字】釣鐘人参(つりがねにんじん)
【別 名】トトキ/沙参(しゃじん)
ツリガネソウ
【学 名】Adenophora triphylla
【英 名】Ladybells
【開花期】8~10月
【花の色】青紫色、白など
【草 丈】~100cm