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ゲンノショウコ/げんのしょうこ/現の証拠
Geranium herb
【ゲンノショウコとは】
・日本全土に分布するフウロソウ科の多年草で、日向~半日陰の土手や野原、山野の道端などに自生する。全草にタンニンの一種を含み、民間療法においては古くから下痢止めや腹痛の妙薬として使われてきた。その効果が確かなことから「現の証拠」あるいは「験の証拠」と呼ばれる。
・薬用にするのは土用の頃に刈り取った地上部で、陰干しにして煎じたものを飲用する。下痢や腹痛には濃く煮出したものを熱いうちに引用し、便秘には冷ましたものを使う。特に「渋り腹(便意はあるが排出量が少なく、すぐにまた催す性質=裏急後重ともいう)」に効果が高いとされた。また、乾燥させた茎葉を煮出したものは、黄茶色、茶色、黒鼠色の染料になる。
・上記のことから、リビョウソウ(痢病草)、セキリグサ(赤痢草)、イシャイラズ(医者いらず)、イシャナカセ(医者泣かせ)、タチマチグサ、クスリノハナなどの別名や地方名がある。食用にもなり、全草を油炒めや和え物、佃煮にする。、
・葉の幅は3~7センチで掌状で3~5つに裂け、縁には粗いギザギザがある。表面には紅紫色の斑点があり、裏面も紅紫を帯びる。茎は斜上するか、地を這うように横へ広がり、枝分かれが多い。葉や茎の様子からネコアシグサ、ウメヅルという別名もある。株全体に短毛が生じる。
・開花は夏の土用の丑の日ごろで、葉の付け根付近から伸びた花柄の先に、紅紫(濃淡あり)あるいは白の花が2~3輪ずつ咲く。直径は1~1.5センチほどで、5枚ある花弁には赤い筋が入る。関西には紅紫の花(ベニバナゲンノショウコ)が、関東には白花(シロバナゲンノショウコ)が多いとされる。
・学名の(Geranium)はギリシャ語の鶴(Geranos)に由来し、花の後できるクチバシ型の果実による。熟すと5枚の果皮が裂けて反り返るが、この様子が神輿の屋根に似るため、ミコシグサという別名もある。
【ゲンノショウコに似た草花】
・センブリ
・ドクダミ
ゲンノショウコの基本データ
【分 類】フウロソウ科/フウロソウ属
多年草
【漢 字】現の証拠/験の証拠
【別 名】リビョウソウ(痢病草)
セキリグサ(赤痢草)
イシャイラズ(医者いらず)
イシャナカセ(医者泣かせ)
タチマチグサ、クスリノハナ
ネコアシグサ(猫足草)
【学 名】Geranium thunbergii
【英 名】Geranium herb
【開花期】7~10月
【花の色】紅紫、白
【草 丈】~50cm