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トロロアオイ/とろろあおい/黄蜀葵
Sunset Hibiscus
【トロロアオイとは】
・中国南西部などアジア熱帯地域を原産とするアオイ科の一年草(あるいは多年草)。日本に渡来したのは江戸時代初期(諸説あり)で、観賞あるいは製紙用に庭園や花壇、畑に植栽される。
・根に粘り気のある白い液を含んでおり、これをトロロになぞらえて、トロロアオイと名付けられた。皮を剥いて砕き、乾燥させたものは「ネリ」あるいは「黄蜀葵根(おうしょくきこん)」と呼ばれ、手すき和紙やソバ、カマボコなどの繋ぎに使われる。
・現代でもネリの生産は続いているが、全生産量の半分を占める主要な産地である茨城県小美玉市では技術の継承等が課題となっている。ちなみにトロロアオイと同様、和紙作りの糊料になるのはノリウツギで、和紙そのものにはミツマタ、コウゾ、ガンピの樹皮が使われる。
・トロロアオイの開花は6~9月。茎の先端あるいは先端付近の葉の脇から伸びた花茎に、直径10~20センチの花が一輪ずつ、下から順に咲いていく。花はオクラに似るためハナオクラという別名がある。
・5枚ある花弁は淡い黄色で丸みを帯び、螺旋状に重なり合う。シベは1本しかないように見えるが、これは多数の雄しべが合体して雌しべを包み込んでいるもの。雌しべの先端(柱頭)は五つに分かれており、柱頭と花底は暗い紫色になる。
・果実は長楕円形で先端は尖り、断面は鈍い五角形になる。でき始めは緑色で銀白の粗毛に覆われるが、褐色に熟すと自然に裂けて小粒の種子を落とす。太めのオクラといった感じだが、不味くて食用にならない。
・食用になるのは果実ではなく花。特有のヌメリはあるが食感がよく、エディブルフラワー(食べられる花)として注目されるばかりか、腎臓に良い「腎良花」として、その効能の研究が進んでいるという。しかし、トロロアオイは日中に開花して夕方に萎む一日花であり、食品としての収穫や流通は難しいとされる。
・葉は手のひら状に5~9つに分かれ、裂け目は葉軸まで達するほど深い。裂片は細長いが、若い苗や株の下方にある葉の裂片は幅が広めになる。葉の縁にはギザギザがあり、両面とも細毛を生じる。
・茎は分岐せずに直立し、1~1.5mまで育つが、草丈が大きくならない矮性の品種も栽培される。茎の表面は平滑だが、これにもまばらな毛がある。
・根は下方向へ伸びる「直根」タイプ。長さは20センチほどだがサツマイモのように膨らみ、ここに粘液が含まれる。粘液は丸薬を作る粘滑薬として、製薬にも使われた。乾燥させた根を煎じて飲めば、胃炎、潰瘍、咽頭炎などに効能があるとする民間療法がある。
【トロロアオイに似ている草花】
・フヨウ
・ムクゲ
・モミジアオイ
アメリカのジョージア州及びフロリダ州に自生する宿根草で、濃いピンク色の花を咲かせるため、トロロアオイの「黄蜀葵」に対し、「紅蜀葵(こうしょくき)」と呼ばれる。明治末期に日本に渡来し、園芸用に広まった。
トロロアオイの基本データ
【分 類】アオイ科/トロロアオイ属
一年草~多年草
【漢 字】黄色葵/黄蜀葵(おうしょくき)
【別 名】オウショッキ/オウショクキ
ネリ/ネリキノハナ/ネリノハナ
トロトロ/トロロ/京フノリ
【学 名】Abelmoschus manihot
【英 名】Sunset Hibiscus
【開花期】6~9月
【花の色】レモン色
【草 丈】~200cm