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ツルニンジン/つるにんじん/蔓人参
Bonnet bellflower
【ツルニンジンとは】
・北海道~九州に分布するキキョウ科の多年草。地下にある太い根が朝鮮ニンジンに似た蔓性植物であるため、ツルニンジンと名付けられた。山野や平地の林内に見られ、やや太めの蔓で他物に絡まりながら育つ。日本以外では朝鮮半島、中国北部及びアムール地方に分布。
・ツルニンジンの開花は夏~初秋で、直径2~4センチほどの花が1~2輪ずつ枝先で下向きに咲く。花は釣鐘型で花先は五つに裂け、全体に緑がかったクリーム色。内側の花先は赤紫色で、その奥には紫褐色の斑点がある。
・別名の「ジイソブ」は花の内側にある斑点を、爺さんのソバカス(ソブ)に見立てたもので、シュンランに通じる。これは近縁のバアソブ(婆さんのソバカス)に対応するものだが、いずれも一般には目に留まりにくい花であり、話題にはなりにくい。
・葉は楕円形で先端は鋭く尖り、小枝の先では3~4枚が輪生するが、主となる蔓の葉は互い違いに生じたり、対になって生じたりと安定しない。表面は淡い緑色で、裏面は粉白色。初夏から秋に採取した新芽、若葉は食用できる。
・ツルニンジンの蔓を傷付けると異臭のある乳液が生じるが、漢方ではこれを「羊乳(ようにゅう)」と呼び、止血、切り傷、去痰に用いる。また、根茎には独特の風味があり、天婦羅、和え物、油炒めなどにして食べると美味しい。根茎を漬け込んだツルニンジン酒は疲労回復や滋養強壮に効果があり、花も酢の物にして食べることができる。
【ツルニンジンに似た植物】
ツルニンジンの近縁種で、やや小さな花が咲く。花の内側が濃い紫色になることや、茎と葉の裏面に白い毛を生じ、葉色がより淡く見えることが見分けのポイント。
・ツルギキョウ
近縁種だが花は直径1センチほどと小さく、葉はハート形になる。
ツルニンジンの基本データ
【分 類】キキョウ科/ツルニンジン属
蔓性多年草
【漢 字】蔓人参(つるにんじん)
【別 名】ツリガネカズラ
ジイソブ/チソブ
キキョウカラクサ
ヘクサヅル
【学 名】Codonopsis lanceolata
【英 名】Bonnet bellflower
【開花期】8~10月
【花の色】緑がかったクリーム色
【草 丈】~2m