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セッコク/せっこく/石斛
Mohl's dendrobium
【セッコクとは】
・東北地方南部~沖縄に分布するラン科セッコク属の多年草。山間に育つ小型の着生ランで、細い茎から伸びるヒゲ根を樹木や岩に付着させて育つ。古くは薬用植物として、現代では初夏に咲く花を観賞する園芸植物として栽培される。
・セッコクという名は漢名「石斛」の音読み「セキコク」が転訛したもので中国や朝鮮半島南部にも自生が見られる。学名はDendrobium moniliformeで、Dendrobiumは木の上に着生することを、moniliformeは数珠状の茎を意味し、本種の仲間にはデンドロビィウムとして花屋の店先に並ぶものもある。
・別名はチョウセイラン(長生蘭)、スクナヒコグスリ、スクナヒコノクスネ、イワグスリなど。いずれも本種が薬用されたことにちなみ、スクナヒコは上代の神話に登場する少彦名神で、これを薬に使ったという。漢方では「甘露飲」と呼び、古い茎を煎じたものは虚弱体質者の滋養強壮、解熱、消炎などに用いる。
・セッコクの開花は5~6月で、2年前に伸びた茎の上方にある節に、直径2~3センチの小花を1~2輪ずつ咲かせる。花色は白~淡い紅紫が基本だが変異が多く、園芸品種には葉や茎の様子が異なるものも見られる。
・花は同じ色形をした2枚の花弁と3枚の萼片からなり、モッコクの名の由来にもなる芳香を放つ。花弁は唇形で上方は少し歪曲し、下部は顎のような形になる。花言葉は「私を元気づける」など。
・葉は長さ4~7センチ、幅1センチ前後。質厚の線形でイヌマキのような雰囲気を持ち、茎から互い違いに生じるが、基部に膜質のサヤがあるのが特徴。
・群生する茎は直径3~6ミリの円柱状で、2~4センチごとに節があり「竹蘭」とも呼ばれる。ツクシやトクサのように柔らかだが葉が落ちた後も枯れずに残り、先端の新芽にヒゲ根を生じながら新たな個体を作る。
【セッコクに似た植物】
・キバナセッコク
四国以西に分布し、7~11月により小さな黄緑色の花を咲かせる。
セッコクの基本データ
【分 類】ラン科/セッコク属
多年草
【漢 字】石斛(せっこく)
【別 名】チョウセイラン(長生蘭)
スクナヒコグスリ/イワグスリ
【学 名】Dendrobium moniliforme
【英 名】Mohl's dendrobium
【開花期】5~6月
【花の色】白、ピンクなど
【草 丈】~30cm