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スギナ/すぎな/杉菜
Field Horsetail
【スギナとは】
・北海道~九州の広い範囲に分布するトクサ科の多年草。田畑、草地、土手、空き地など日向であればどこにでも見られるが、特に造成直後の住宅地に多い。全体の雰囲気がスギの樹形に似るとしてスギナ(杉菜)と名付けられた。日本以外でも北半球の各地に分布。
・スギナは春の訪れを象徴する植物であり食用にもなるが、地下を縦横無尽に走る根茎は除去しにくく、一度侵入すると駆除が難しいため「雑草の王様」として知られる。それもそのはずスギナは恐竜が生きた時代よりも古い、古生代石炭紀から生き残っている。
・かつて「ツクシ誰の子 スギナの子」という唱歌が口ずさまれていたが、ツクシとスギナは地下茎でつながる同一の植物であり、ツクシは繁殖を、スギナは養分の生産を担当する。スギナはシダの仲間であり、花や果実ではなく、ツクシにできる胞子や地下茎によって繁殖する。
・胞子は粉状で、ツクシの先端にある小さな六角形の傘に5~10個ずつ隠れている。3~4月になると熟した胞子が風に乗って拡散され、役割を終えたツクシは朽ち果てるが、それに代わってスギナが繁茂する。
・ツクシという名は、地中から勢いよく伸びる様を表す「突く」に由来。漢字表記の「土筆」はツクシの形状を筆に例えたもので、その名のとおり筆が地面から突き出すように生える。中国名は「筆頭菜」
・ツクシは古くから山菜として親しまれるが、食用に向くのは、傘があまり開いていない高さ5~10センチのもの。茎の途中にある鞘(葉の退化したもので、その形状からハカマともいう)を取り除いて、酢の物、佃煮、胡麻和えなどにして食べることができる。
・ツクシが枯れるとスギナの葉が展開するように見えるが、スギナの葉も退化した黒い鱗片状で節にとどまる。葉のように見える緑色のものは茎(枝)であり、葉緑素を多数持つこの茎の光合成によって、地下にある根茎の栄養球に養分を蓄える。
・若いスギナはツクシ同様食用となり、江戸時代には佃煮などにして 普通に食されていた。明治天皇はツクシやスギナを好物にしていたという。食用するスギナは5~7月に葉の色が十分に濃くなったもの。また、これを煎じて飲めば発熱、喉の炎症、利尿、咳や痰を鎮める効能があるという。生薬名は「問荊(もんけい)」
・スギナの学名Equisetum arvenseは馬の尾を意味し、葉の様子を馬の尻尾に擬えたもの。英名のField Horsetailも同様に馬の尻尾に由来する。
【スギナの品種】
・イヌスギナ
湿った荒れ地や田畑に見られる近縁種。下部の茎が長く湾曲し、ツクシのような穂は、同一個体の先端にできる。
・フサスギナ
スギナよりも葉や草体が大きい品種。
・ミズスギナ
高山の湿地帯などに分布する。
【スギナに似ている草花】
・トクサ
・ゼンマイ
スギナの基本データ
【分 類】トクサ科/スギナ属
多年草
【漢 字】杉菜(すぎな)
【別 名】ツギクサ/ツギナ
マツナ/マツグサ
ツクシ(土筆)/ツクシンボ
ツクヅクシ/筆の花
ウマゾウメン
【学 名】Equisetum arvense
【英 名】Field Horsetail
【開花期】3~4月
【花の色】黄褐色(花ではなく胞子)
【草 丈】~40cm