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コオニユリ/こおにゆり/小鬼百合
Maximowicz's lily
【コオニユリとは】
・北海道~九州に分布するユリ科の多年草。オニユリによく似るが草丈をはじめ各部位がより小さいため、小オニユリと呼ばれる。オニユリは海岸~山地に分布して平地でも育つが、本種は山野の湿原や渓流沿いの崖地などに分布する。日本に育つのは在来種だが、朝鮮半島や中国東北部などの東アジアにも分布する。
・花は直径7センチほどでのオレンジ色。花弁の内側にはオニユリと同じように黒紫色の斑点模様が入り、雄しべや雌しべも同じだが、花先の反り方はオニユリに比べると弱く、一株当たりの花数も2~10輪ほどでオニユリより少ない。
・オニユリの多くは結実せず、葉の付け根にできる珠芽(ムカゴ)によって繁殖するが、コオニユリは結実し、ムカゴはない。果実は円柱状で内部に種子を含むが、実生の場合、開花までに7~8年を要する。
・葉は線形で茎から互い違いに生じるが、花が咲く頃には大方の葉が落ちる。葉の幅はオニユリよりも狭く、環境によっては糸状になるが、これを変種としてホソバコオニユリあるいはタニマユリなどと呼ぶことがある。
・茎の表面にはオニユリに見られるような紫色の斑点や毛がなく、草丈も最大1.5mほどにとどまる。オニユリは群生しやすいが、本種は単独でひっそりと育つことが多い。
・オニユリの鱗茎(根)は苦味があって食用しにくいが、コオニユリの根は苦みが少なくて食用となり、ヤマユリに似た食感がある。秋から春に採取した根は天婦羅、漬物、煮物にして食べるのが一般的。
【コオニユリの品種】
・キヒラドユリ(ヒラドユリ)
コオニユリの自生地で稀に見られる変種で、鮮やかな黄色い花に赤紫色の斑点模様が入る。性質はコオニユリよりもやや弱く、花数はより少なめ。別名をキバナノオニユリという。
コオニユリの基本データ
【分 類】ユリ科/ユリ属
多年草
【漢 字】小鬼百合(こおにゆり)
【別 名】菅百合(スゲユリ)
和田百合(ワダユリ)
【学 名】Lilium leichtlinii
var. maximowiczii
【英 名】Maximowicz's lily
【開花期】7~9月
【花の色】オレンジ
【草 丈】~150cm