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コウホネ/こうほね/河骨
Yellow pond-lily/Spatter-Dock
【コウホネとは】
・北海道西南部から九州まで日本各地の平地に分布するスイレン科の多年草。いわゆる水草であり、日当たりのよい池沼や小川に自生するが、古くから薬用あるいは観賞用とされ、近年はビオトープなどでメダカ飼育用にも使われる。
・水底を這う根茎が骨のような色形であり、あたかも動物の背骨が横たわっているよう見えるため、コウホネあるいはセンコツ(川骨)と名付けられた。別名はカワホネ、カワバス、ヤマバス、ホネヨモギ、カワト、カッパネ、カッポンバナ、タイコブチなど多数。
・コウホネの開花は夏で、光沢のある黄色い花が、水中から拳を突き上げたように咲く。花は直径3センチほどのお椀型で、花びらのように見える5枚の萼片と多数の雄しべが目立つ。
・本物の花弁は丸い萼片の内側に15枚あるが、小さくてあまり目立たない。花茎は緑色をした円柱状で、これらを太鼓のバチに見立てた別名、タイコブチ(たいこのぶち)がある。
・花の後には水分を含んだ果実ができ、熟すにつれて柄が折れ曲がることで、水中に種子を散布する。
・コウホネの葉には水上に顔を出す空中葉(気中葉)と水面下にある沈水葉(水中葉)の二通りがあり、環境によって変態する。空中葉はサトイモの葉に似た厚質で表面に光沢があり、長い卵形あるいは楕円形。長さ20~30センチで先端が尖る。
・沈水葉は細長い半透明の膜質で、縁が縮れてワカメのようになる。主に水流のある場所で見られるものだが、自然環境では冬場に空中葉がなくなって沈水葉のみになることが多い。
・名前の由来となる根茎は肥大しており、内部は白い海綿質となる。アルカロイドを含むため口にすると苦味があり、平時は食用しないが、飢饉の際は食べることもあったという。
・漢方ではコウホネの根茎を「川骨(センコツ)」と呼び、夏から秋にかけて採取したものを乾燥させ、これを煎じて飲めば鎮痛、消炎、強壮、止血等に効果があるという。漢名は萍蓬草(へいほうそう)。
【コウホネの品種】
・ヒメコウホネ
円形の小さな葉が水面に浮かぶ。
・オゼコウホネ
尾瀬や月山に見られる品種で柱頭の先端(花の中央)が紅色になり、葉はヒメコウホネ同様、水面に浮かぶ。
現代ではこのほかに、ベニコウホネ、ネムロコウホネ(北海道及び東北地方に分布)が知られるが、江戸時代には本種の栽培が流行し、五河骨、岡河骨、南京河骨など多様な品種があった。
コウホネの基本データ
【分 類】スイレン科/コウホネ属
多年草
【漢 字】河骨
【別 名】カワホネ/カワバス/ヤマバス
ホネヨモギ/カワト/カッパネ
カッポンバナ/タイコブチ
【学 名】Nuphar japonica
【英 名】Yellow pond-lily
Spatter-Dock
【開花期】5~9月
【花の色】黄色
【草 丈】~50cm