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クローバー/くろーばー
White clover
【クローバーとは】
・ヨーロッパなどを原産とするマメ科シャジクソウ属の多年草。いわゆる帰化植物で、江戸時代以降に牧草として導入されたものが野生化し、北海道から沖縄まで日本各地に分布する。
・広義のクローバーは複数の品種を含むが、一般的には標準和名を「シロツメクサ」とする白花の品種を示すことが多い。本項では主にシロツメクサについて記す。
・「ツメクサ」は、江戸時代(弘化年間)にオランダからガラス器具(ギヤマン)などを輸入する際、乾燥させた茎葉を緩衝材として詰めたことに由来し、他のツメクサと区別するために花の色からシロツメクサとされた。全国の道端、土手、野原、荒れ地で普通に観察できる。
・別名はウマゴヤシ、オランダゲンゲ、オランダウマゴヤシ、シロレンゲ、ホワイトクローバーなど。漢字表記は白詰草のほか白爪草、苜蓿(もくしゅく)がある。
・葉は直径1~3センチの卵形の小葉が3枚集まってできる。両面とも無毛だが、表面に「八」の字の白斑が入ることが多く、これを爪の半月(白い部分)に見立てた「白爪草」という別名がある。
・小葉が4枚ある個体をラッキークローバーとして珍重するのは、その形が十字架に似ているためで、キリスト教圏で幸運の象徴あるいは魔除けとしたことに由来する。小葉が5枚以上ある個体もあり、四つ葉はさほど珍しくはない。葉柄は茎から互い違いに生じる。
・開花は4~9月で、葉の脇から伸びた柄の先に直径2センチほどの球状の花序(小花の集り)ができる。小花は白い蝶形で、先端にある萼筒が尖っているが、受粉すると茶変し、外側の花から順に垂れ下がる。
・花冠(花弁)と萼は花が終わっても枯れた状態で残り、内部に5粒ほどの種子を抱く。種子は直径5ミリほどのハート形。種子から発芽した最初の葉はクローバーらしさに欠け、小葉1枚だけになる。
・茎は地を這うように横へ広がって分岐し、稀に直立する。クローバーが厄介なのは、節々から根を生じて繁茂するためで、秋以降は地上部が消えるものの根茎はしっかりと越冬し、暖地では地上部もそのまま残る。
・人の踏圧にも強い丈夫な性質を持ち、茎で花輪を作って遊ぶこともできるが、芝生などに入り込むとと駆除しにくい。このため庭園や家庭では雑草として敵視されやすいが、牧草や肥料(緑肥)用に育てたり、土手の護岸を目的として意図的に植栽されることもある。
・クローバーはモンキチョウ(蝶)の食草だが、若い茎葉や花は山菜として食用になる。4~10月に採取した若葉は天婦羅、油炒め、胡麻和え、お浸し、粥の青味に、花を茹でたものは酢の物や花酒にして利用する。また、ヨーロッパではその昔、クローバーを解毒剤に使っていたという。
【クローバーの品種】
・モモイロツメクサ
シロツメクサのうちピンクの花を咲かせる品種。ややこしいが下記のムラサキツメクサとは違う。
・ムラサキツメクサ(アカツメクサ/レッドクローバー)
ヨーロッパ及び西アジアを原産とする種。茎葉の栄養価が高いため明治初期に牧草として導入されたが、後に野生化して日本各地の山野にはびこる。花は紫を帯びた紅色でシロツメクサよりも大きく、花の直下に葉があるため、葉に乗るように花が咲くのが大きな違い。また、シロツメクサは地を這うように育つが、ムラサキツメクサは直立し、高さ50センチほどになる。
【シロツメクサとムラサキツメクサの見分け方】
・シロツメクサは茎葉に毛がないが、ムラサキツメクサには細かな毛があるため、花がない時季でも見分けることができる。また、シロツメクサの葉の模様は「八」の字だが、ムラサキツメクサはより鋭角な矢印になる。
・ムラサキツメクサにはシロバナノアカツメクサ(セッカツメクサ)という、白い花を咲かせる品種もあってややこしいが、これも花序の下にある葉や、葉の両面に生じる毛で見分けられる。
【クローバーに似た草花】
・カタバミ
クローバーの基本データ
【分 類】マメ科シャジクソウ属
多年草
【漢 字】白詰草/白爪草(しろつめくさ)
【別 名】ウマゴヤシ(苜蓿)
オランダゲンゲ
オランダウマゴヤシ
シロレンゲ/ホワイトクローバー
【学 名】Trifolium repens
【英 名】White clover
【開花期】4~9月
【花の色】白
【草 丈】~30cm