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ギンリュウソウ/ぎんりゅうそう/銀竜草
Indian pipe/Wax flower
【ギンリュウソウとは】
・北海道から沖縄まで日本全国の山地に見られるツツジ科の多年草(菌従属栄養植物)。落葉樹林内の腐葉土など、湿気の多い場所に見られ、日本以外でも中国、シベリア、インドシナなどに分布する。
・「水晶蘭」という美しい漢名があるが、日本での別名は幽霊茸や幽霊草などで、白い半透明の草体に由来するが、開花の前後しか地上に姿を見せないという性質も幽霊を彷彿させる。
・ギンリュウソウの姿形は一般的な「草」とかけ離れているが、これは本種に葉緑体がないため。開花期以外は地中に潜み、光合成しない代わりに腐葉土を分解する地中の菌類から養分を貰って育つ。
・ギンリュウソウの開花は5~8月でほぼ梅雨時にあたる。花茎の先に一輪ずつ咲く花は長さ1.5~2センチの筒状で、その先端は3~5つに浅く裂ける。
・花には太くて短い花柱(雌しべ)1本と、10本の雄しべがある。雌しべの頂部はキノコのように広がって縁は青紫になり、雄しべの花糸には白い毛がある。花を頭に、全草を白銀色の竜に見立ててギンリュウソウと名付けれた。
・花の後にできる果実も白色で、柱頭(雌しべ)の跡だけが青味を帯びる。花は斜め下向きに咲くが、果実はやや横向きになり、熟すと株ごと倒れて地上部は朽ち果てる。ギンリュウソウはモリチャバネゴキブリと共生関係にあり、種子はゴキブリによって拡散される。
・葉は長さ1~2センチで、茎から互い違いに10~20個出ているが、鱗片状に退化しており葉のようには見えない。茎は肉質で柔らかく、1~数本が直立する。
・葉や茎は白色になるのが基本だが、個体によってはピンクや青紫がかったものもある。また、少しの衝撃で痛みやすく、傷付いたり折れたりすると黒変するため、形のハッキリしないものも多い。地下にある根は黒褐色の塊状。これも脆くて崩れやすい。
【ギンリュウソウに似た植物】
・ギンリュウソウモドキ(アキノギンリュウソウ)
同じような場所に生えるが、秋(8~10月)に開花する。また、ギンリュウソウの果実は水分を含んだ液果だが、モドキの果実は水分を含まない痩果で、表面に縦皺が入る。
ギンリュウソウの基本データ
【分 類】ツツジ科/ギンリュウソウ属
多年草
【漢 字】銀竜草(ぎんりゅうそう)
【別 名】ユウレイタケ
ユウレイソウ
水晶蘭
【学 名】Monotropastrum humile
【英 名】Indian pipe / Waxflower
【開花期】5~8月
【花の色】白
【草 丈】~20cm