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ギョウジャニンニク/ぎょうじゃにんにく
Alpine leek
【ギョウジャニンニクとは】
・北海道及び奈良県以北の本州に分布するネギ科の多年草。ニンニクと直接の関連はないが似た香りがあり、山岳信仰の修行者が荒行に耐えるため滋養強壮として食用したことから「行者ニンニク」と名付けられた。食用になるのは若芽、葉、蕾、根だが、自生は少なく栽培品が流通している。
・葉は長さ20センチ、幅5~10センチの長楕円形で、ニンニクと違って幅が広い。柔らかな多肉質で 茎から2~3枚ずつ生じ、細くなった基部は花茎を包むように生じる。食用に適するのは春から夏の葉だが、蕾を持つ前の柔らかな葉がもっとも美味しい。
・葉は油炒め、天婦羅、御浸し、和え物、酢の物などにして食べるのが普通だが、味噌をつければ生でも食べられる。特に白い葉柄(茎)が美味であるため、葉柄を長めに採取するのがコツ。また、硬くなった葉でも刻んで乾燥させれば保存食に使うことができる。
・ギョウジャニンニクは葉の形が毒草のスズランに似ており、誤って食べる事故もあるが、葉をちぎるとニンニク臭があり、花は全く異なる。ギョウジャニンニク関連で死亡事故が多いの誤食よりも採取に伴う転落や遭難事故で、自生地が足場の悪い湿った斜面であることによる。
・ギョウジャニンニクの開花は初夏で、葉の中央から伸びた長さ50センチほどの花茎に、ニラのように白い小花が球形に集まって咲く。蕾も食用となり、天婦羅や酢の物にして食べることができる。
・地下にある鱗茎はラッキョウのような形。長さは4~6センチほどでシュロのような網目状の繊維に覆われる。この鱗茎も食用となり、ニンニク同様、摺りおろして香辛料に使うが、ニンニクよりも辛味が強い。鱗茎は通年で食用できるが、繁殖力がさほど高くないため多量の採取は個体数の減少を招く。
・別名はアイヌネギ、エゾネギなど。北海道では貴重な食物であるとともに風邪、便秘、脚気などの薬としても使われた。漢方名は「茖葱(かくそう)」。また、ニンニクと同様、その香りに魔除けの効果があると考えられ、伝染病が流行った折には家の戸口に葉を吊るして厄除けとしたという。
【ギョウジャニンニクに似た植物】
・ノビル
・ニラ
・ヤマラッキョウ
・アサツキ
ギョウジャニンニクの基本データ
【分 類】ネギ科/ネギ属
【漢 字】行者大蒜(ぎょうじゃにんにく)
【別 名】アイヌネギ/エゾネギ
ヤマニンニク/コビル
行者蒜/二荒蒜など
【学 名】Allium victorialis
subsp. platyphyllum
【英 名】Alpine leek
【開花期】6~7月
【花の色】白
【草 丈】~50cm