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キランソウ/きらんそう/金瘡小草
Bugleweed
【キランソウとは】
・本州、四国及び九州に分布するシソ科の多年草。日本の在来種であり、日当たりのよい山野や草地、川原の土手、平地の道端などで普通に見られる。日本以外では朝鮮半島や中国に分布。
・キランソウの開花は3~5月。茎の頂部や葉の脇に長さ1センチほどの花を数輪咲かせる。花色は濃い紫色であり、キランソウという名前は、「紫藍草(しらんそう)」が転訛したとする説があるが、花色は日照、土質、水分などの条件によって濃淡に変化がある。
・花は唇形で上唇はさらに二つに、下唇は三つに裂けて上唇よりも大きい。雌しべは1個でその先端は上下に裂け、4個ある雄しべのうち、下の2個は短い。
・葉は茎から対になって生じる「茎葉」と、株元から出る「根生葉」がある。茎葉は小さな長楕円形で縁にギザギザがあり、葉柄ははっきりしない。「根生葉」はより大きく、縁は波状。地面にへばりつくよう放射状に広がる。
・キランソウはかつて墓地に多く、根生葉が地を覆う様子を蓋(ふた)になぞらえ、別名を「地獄の釜の蓋」といった。これはキランソウの葉によって先祖を土中にとどめておくという生々しい意味合いだが、キランソウには薬効があり、その効能によって病人を蘇生させるという意味合いもある。
・茎は断面が円柱形で地を這って四方に広がり、直立したり、接地箇所から新たに根を出したりすることはない。また、茎や葉には細かな縮れ毛があり、茎は赤褐色に見える。
・キランソウは全草にサポニン、タンニン、フェノール性物質を含み、民間療法や漢方に使われる。薬用するのは乾燥させた茎葉で、中国では「筋骨草」として、開花後に採取した全草を水洗い、陰干しし、煎じたものを飲めば咳止め、解熱、解毒、下痢止め、利尿の作用があるという。
・漢方名「筋骨草」は、キランソウに含まれる植物性エクジソン(昆虫の変態を活性化するステロイド)にちなみ、運動時にこれを摂取すれば、筋肉量が増え、骨の強度を高めるという。
・生葉も虫刺されや肌の炎症に効果があり、葉を揉んで肌に塗ればウルシによるかぶれが和らぐ。また、煎じた地下茎でうがいをすれば、口内炎に効くとされ、キランソウには「医者泣かし」「医者倒し」「医者殺し」などの地方名がある。
【キランソウの品種】
・ヒメキランソウ
九州南部~沖縄に分布する品種で、株全体が原種よりも小さい。自生は日当たりのよい海岸付近だが、地域によっては絶滅が危惧されている。
キランソウの基本データ
【分 類】シソ科/キランソウ属
【漢 字】金瘡小草/金襴草(きらんそう)
【別 名】ジゴクノカマノフタ
カマノフタ/イシャナカシ
イシャダオシ/イシャコロシ
タンクサ
【学 名】Ajuga decumbens Thunb.
【英 名】Creeping Bugleweed
【開花期】3~5月
【花の色】濃い紫色
【草 丈】~10cm